【概要】
■2021年のウェアラブルデバイス世界出荷台数は2億2,950万台と予測。年間平均成長率は17.2%
■腕時計型は安定的な成長を維持、リストバンド型は市場環境の悪化を懸念
■日本国内の2021年予測合計出荷台数は128.6万台、腕時計タイプが市場をリード
IDCのデータ予測によると、2017年には1億2,170万台(2016年は1億440万台)と予測されるウェアラブルデバイスの出荷台数は、2021年には2億2,950万台に成長すると見込まれ、2017年~2021年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は17.2%と二桁成長が続くという。
腕時計型やリストバンド型などの手首装着型以外のウェアラブルとして、靴・衣類型と耳掛け型は、現在その市場規模は小さいものの、需要は急速に伸びるとIDC予測している。
パーソナルアシスタント機能を内蔵した靴・衣類型および耳掛け型デバイスは、ユーザーの心拍などをトラッキングして医師などに伝えるという非常に有力なソリューションを提供しており、ユースケースも数多く存在している。
また、日本国内のウェアラブルデバイスについては、2021年の年間出荷台数は128.6万台と予測されている。タイプ別で見ると腕時計型が市場の約半数を占め(55.4%)、堅調な成長が予測される。
製品タイプ別ウェアラブルデバイスの動向は以下のようになっている。
腕時計型:
スマートウォッチ(Apple WatchやSamsung Gear、及びAndroid Wear上でサードパーティー製のアプリが実行可能なもの)とベーシック型(サードパーティー製のアプリを実行できないもの。例: ハイブリッドウォッチ、フィットネス/GPS時計および子供向け時計)は2021年までウェアラブル市場の大部分を占めるものと予測される。
AppleとAndroid Wear搭載機種は市場の主導権を握ると考えられるが、独自のOS(FitbitのJavaベースの独自のOS、GarminのConnect IQなど)を搭載する新規参入者が登場するものとみられる。ベーシック型は従来の時計にウェアラブル技術を追加することによって、スマートウォッチを上回ると見込まれる。
全体としては、腕時計は多様なモデルが投入されることにより、多様なユーザー体験を提供することで、好みの異なる多くの多様な消費者にこの商品カテゴリーをアピールすることになり、これが市場拡大と毎年の出荷量の拡大につながると考えられる。
リストバンド型:
2021年までのCAGRは1.9%にとどまるものと見込まれる。そして、市場がマーケットリーダーに統合されるにつれて成長が減速し、小規模なベンダーは戦略の見直しを図ることになると考えられる。
競争圧力に加え、平均小売価格の低下及びマーケットリーダーの製品群と差別化できないユーザー体験の問題がこの市場には存在している。それでも、リストバンドというカテゴリーはほとんどのユーザーにとって受け容れやすい使用価値を提供するため、今後も市場で一定の地位を占め続けると想定される。
靴・衣類型:
靴・衣類型は腕時計型やリストバンド型からは遠く引き離され、1桁の市場シェアを獲得しているに過ぎないが、成長という観点では市場全体を上回る。衣服内に埋め込まれたフィットネスのパフォーマンスと疲労度をトラッキングする機能を備えたフィットネス志向の衣類は、現在プロとセミプロのチームや選手のために使われているが、これらは今後の量産を推進することになると予測される。
靴・衣類型ウェアラブルデバイスの機能の多くは、他のウェアラブル機器でのユーザー体験と同様のものをもたらすため、プロユースに続いて消費者の関心が盛り上がることになると期待される。
耳掛け型:
耳掛け型(Bluetoothヘッドセットを除く)は靴・衣類型同様1桁の市場シェアを獲得しているに過ぎないが、ウェアラブルデバイスの各カテゴリーの中では最も高い成長率を実現する。耳掛け型デバイスはユーザーがオーディオ機器を通じてデータを取り扱うため、他のデバイスとは異なる価値提案を行っている。
オーディオ再生機能は全ての耳掛け型で共通した機能だが、このウェアラブルデバイスではユーザーはフィットネストラッキング機能やそれに基づいたアドバイス機能、リアルタイム翻訳といった機能も体験することができるようになると期待される。
その他:
宝飾タイプ、クリップオンデバイス、非AR/VRアイウェアなど他の製品カテゴリーに当てはまらないものがこのカテゴリーに分類される。これらは特定のユーザーをターゲットにし、ほんの一部のベンダーが製品を提供している。このカテゴリーの市場シェアの合計は2%未満にとどまる見込みだ。
それでも、このカテゴリーの製品の技術革新からもたらされた技術はユニークなインサイトをもたらすことになるため、他の製品への応用という意味で、継続的な観察が必要となると考えられる。
<参考資料>

2017年~2021の年間平均成長率(CAGR)

2017年~2021年の年間平均成長率(CAGR)
【関連リンク】
・IDC Japan
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。