【概要】
■2022年の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は2億1940万台と予測
■腕時計型、リストバンド型が市場を牽引するも、耳掛け型の成長も注目される
■2022年の国内ウェアラブルデバイス出荷台数は110万台と予測。コンシューマー市場に課題
IDC Japan株式会社は、ウェアラブルデバイスの2022年までの国内/世界出荷台数予測を発表した。
IDCによると、2017年には1億3,290万台だったウェアラブルデバイスの出荷台数は、2022年には2億1,940万台に成長し、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は13.4%と二桁成長が続くと予測されている。
「スマートウォッチの有用性をようやく消費者は理解し、その機能を求めるようになってきている」と米国IDC Mobile Device Tracker シニアリサーチアナリストのジテシュ・ウブラニ氏は述べている。
そして「現在の利用分野ではフィットネス利用がわずかばかりリードしているが、モバイルペイメントとメッセージの送受信がそれに追いつこうとしている。それに加え、スマートウォッチが独立してインターネット接続機能を持つようになったことはアーリーアダプターの関心を惹いており、音楽ストリーミングや追加のヘルスセンサーといった機能がスマートウォッチの成功にとって不可欠なものになるだろう」と述べている。
「リストバンドとベーシックタイプ(Watch OSやWear OS等のモダンOSを搭載せず、ユーザーがアプリを自由に追加できないもの)の腕時計型デバイスのニーズが途絶えることはないだろう」と米国IDC ウェアラブルデバイスチーム リサーチマネージャーのレイモン・リャマス氏は述べている。
これに続けて、「両製品とも、そのシンプルさと価格の低さにより、消費者が手にする最初のウェアラブルデバイスとして長きにわたり人気を維持するだろう。消費者はウェアラブルデバイスにはデジタル健康管理機能(リストバンド)を求めたり、ウェアラブルデバイスとしての機能を求めたりする一方で、これまでの腕時計と同様のデザインを求めているからだ」と述べている。
腕時計型やリストバンド型が注目される一方で、他の形状のウェアラブルデバイスは2022年までの予測期間中そのシェアを拡大することになるものの、そのシェアは限定的なものになるという。
耳掛け型と靴・衣類型はその中でも成長が見込まれるもので、その成長速度は遅いもののヘッドフォン、およびアスリートや作業者向けのセンサー付きウェアに搭載されることで不可欠のものになっていくという。
カテゴリー別ハイライト
腕時計型
2017年に出荷されたスマートウォッチの半数以上はアップルが占めた。同社はこのカテゴリーで主導権を維持し続けるが、Fitbit、Garmin、および他の全てのWear OS(旧Android Wear)製品が競合として存在している。
このカテゴリー内では、子供向けのスマートウォッチも成長を続けている。この製品カテゴリーは主に中国向けだ。スマートウォッチは平均販売価格が最も高いと予測され、金額ベースでウェアラブル市場全体の2/3以上を占めると予測される。
ベーシックタイプは新たなベンダーが市場に参入し、デザインもファッショナブルなものに洗練されるため、予測期間中のCAGRは16.4%に達すると予測される。
しかしながら、ユーザーにこの種のデバイスのメリットをいかに伝えるかという問題に各ベンダーは直面しており、多くの消費者はこのベーシックタイプのデバイスをウェアラブルデバイスというよりもむしろ単なる腕時計と見なしているという。
このため、このカテゴリーがスマートウォッチを追いかける立場には変わりはないとIDCは予測している。
リストバンド型
低コストで、コモディティ化されたリストバンド型ウェアラブルデバイスは、新興市場での地位を維持し続けるという。
これらは2022年に出荷されるすべてのウェアラブル製品の22%を占め、2018年の36%からは減少すると見込まれている。
これらのデバイスの使いやすさと全体的なアクセシビリティは、その他のウェアラブル製品への完璧なスターターデバイスとして位置づけているという。
耳掛け型
耳掛け型は2022年末までに1,330万台を出荷し、2018年~2022年のCAGRは48.0%となる。スマート音声対応アシスタント、クアルコム等のチップメーカーのハードウェア開発、およびワイヤレスヘッドフォンの普及に伴い、このフォームファクターがリストバンドや腕時計型に次いで人気があると予測している。
靴・衣類型
靴・衣類型は2022年までに2017年のシェア2%から5.3%のシェアに成長する見通しだ。
これまでのところ、このカテゴリーは一般的な消費者を対象としたLi-NingやUnder Armorなどの万歩計シューズに限られている。
しかし、今後、プロスポーツ選手や危険な環境にある現場作業員をターゲットにした他のニッチブランドがこの市場を牽引すると予測している。
その他
Museのヘッドバンドやスマートリストバンド(サードパーティーのアプリケーションを実行できるもの)のような身体のさまざまな部分にクリップできるデバイスがこのカテゴリーに分類されるが、その多くはあまり知られていない。
しかし、このカテゴリーはマスマーケット向けではなく非常に特殊なニーズに対応することで、収益を上げるビジネスになる可能性があるという。
国内のウェアラブル市場
また、IDCは日本国内のウェアラブルデバイスの出荷予測も提供している。
日本市場の2022年の年間出荷台数は合計110万台と予測される。タイプ別で見ると、腕時計型が2022年は合計71万台と市場の大半を占め、堅調な市場の形成が見込まれる。
「米国などから1年以上の遅れにはなるが、リストバンド型デバイスを貸与・配布するなどして従業員の健康増進を図るケースが日本国内でも増えてきており、ようやくウェアラブルデバイスを積極的に活用しようという機運がビジネス領域でも立ち上がりつつある」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの菅原啓氏はコメントしている。
それに続けて「だが他方、コンシューマー市場での市場拡大の契機となる要素は依然として乏しいのが現状であり、実用面はもちろんのことエンターテインメント用途など幅広いフィールドでウェアラブルデバイスを活用できる可能性をユーザーと共に探究し、拡大していく必要がある」と述べている。
【関連リンク】
・IDC Japan
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