IoTというとよくわからないという人もいるのですが、技術論を語り合ってもきりがないのでどんな生活になるかということを考える。
まずはスマートホームだ。
ドアロック解除
スマートホームが実現されると、「カギ」や「スイッチ」の類はほとんどなくなる。
家に帰ると、家が家主であることを感知してロックが解除される。
ドアも自動ドアになるので、ドアを開けることもなくなる。
現在だと、スマートフォンに特定のアプリが入っていると、ビーコンという技術で50cm以内に近づくとドアロックを解除するということはできている。
当社は、akerunという製品を試しているが、現状ではまだスマートフォンをカギとして使っていて、アプリでスイッチのオン・オフをするという状態だ。
今後顔認証など、スマートフォン不要となるような状況がすすむことが望まれる。
参考: akerun
「お帰り!」は、顔認証で。
小さいお子さんがいらっしゃるご家庭で共働きの場合、子供が帰宅したかどうかが気になる。
そこで、ドア付近には、顔認識のセンサーがあって、子供が帰宅したことが外出先の両親にも通知されるようになる。
もちろん、家族でない人が侵入した場合は、顔認識センサーが防犯装置に早変わりする。
顔認識の技術は、身近なところでは、スマートフォンのロック解除に使われている。
装置の小型化と、家庭内の通信機器への接続でこういったことは簡単に実現できている。
参考: netatmo
生活習慣を学習して快適な空間に
そして、部屋に入ると、暑い夏も、寒い冬も、とても快適な温度、湿度になっている。
これは、家が住人の生活習慣を学習して、電気代の無駄をしないように効率的な電気の使い方をしつつ、住人の帰宅時間にあわせてエアコンや加湿器を稼働させているからできるのだ。
近未来では、個人一人一人の好きな温度帯も意識することができる。
これからは、寒がりの人と暑がりの人が喧嘩をすることはなくなる。(もちろん、二人同時にいるとどうするかは問題になるのだが・・・)
電燈も人感センサーによって点灯するので、スイッチなどいらない。
消したいときや、アンビエントな電燈にしたいときは、センサーに向かって話しかけるだけで自動調光される。
Googleのnestというグループ企業が提供する、nest thermostatは、住人の生活習慣を学習し、住人のライフスタイルをも学習していく。
夏休みになって、子供が一日中いるときは、それにあわせた温度設定を覚えるのだ。
参考: nest thermostat
話しかけるとなんでもやってくれる便利な家
家には、音を感知するセンサーがあり、部屋に向かって「ロックで気持ちをあげていきたい!」というと、スピーカーからロックミュージックが流れる。
一言ロックといっても様々なアーティストがいるし、好きな感じもそれぞれだろう。
そこで、個人の好みを学習して、今のタイミングだとこのアーティストのこの曲だなと臨機応変に音楽をかける。
気に入らなければ次の候補を出してくれと声をかけるだけでよい。それも、次のおすすめ曲を学習するきっかけとなるのだ。
料理をしているとき、両手がぬれていて、スマートフォンのレシピページを確認できない場合があるが、そういう時も部屋に向かって話しかけるとスピーカーから作り方を教えてくれるし、画像は近くのモニターに表示され、煮炊きのタイマーも「今から10分たったら教えて!」というだけで教えてくれるようになる。
毎朝スムージーを飲む習慣のある人は、朝起きれば自動的にスムージーができてる。
果物や野菜がきれそうなことは近くのネットスーパーが感知して事前に持ってきてくれる。
困ったことがあっても、部屋に話しかけると大抵のことは教えてくれる。
めったに行かない土地に旅行に行こうとしても、何時に出ればよいかはすぐわかる。
電車の乗り換え経路などは、部屋が自動的におすすめルートを手持ちのスマートフォンか、ウェアラブルウォッチなどに通知しておくことになる。
Amazonが7月にリリースする、Echoは、部屋の明かりをつけたり、ヒーターをつけたりすることができるだけでなく、Googleカレンダーの予定にアクセスし、スケジュールを確認することができる機能、家を出る前に目的地への最速ルートと所要時間を教えてくれる。
「ロックミュージックをかけて」と話しかければ音楽プレーヤーになり、「今何時?」と聞けば時計代わりに、「エベレストの高さは?」と質問すれば正確な高さを教えてくれる先生にもなる。
両手がふさがってしまう料理をしながらレシピを見るのは至難の業だったが、話しかければレシピを教えてくれるし、タイマーも鳴らしてくれる。
エネルギーを最適化して電気代を節約する
昼間は太陽がさんさんと降り注ぐので、天井付近は熱くなる。
この熱をうまく使って室内温度を最適化する。
空調の効率は人のいるところだけに最適化していく、そういった家全体での暑さ、寒さ対策ができる家が一般化される。
太陽光発電の設備が屋根についているようか家は今でも家全体の電力をコントロールするような装置(HEMS)がある場合が多いが、そこまでできいてる家はまだ少ない。
上は三菱電機の電力制御システムの絵だが、こういった効率化を進めることで家のみならず街全体でのエコを進めるシステムが出来上がるだろう。
現状実現できているスマートホームの世界でも十分近未来的だ。
気になったものは実際に購入してみて、楽しんでみて欲しい。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。