ウイングアーク1st株式会社が、ものづくり企業に必要不可欠なMES(生産実行システム)のノウハウを凝縮し短期導入を可能にした、クイックスタートMESアプリケーション『MESOD(メソッド)』の提供を開始した。その詳細を知るべく、ウイングアーク1st株式会社 営業・ソリューション本部 製造ストラテジックビジネスユニット ユニット長 荏原 光誠氏にインタビューを実施した。(聞き手:株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS 代表 小泉耕二)
小泉: MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)のソフトをウイングアーク1stさんが出すイメージがなかったので、背景から教えていただけますか?
荏原: MESは市場の注目度が高い一方で、一品一様で個別開発が必要になり大規模なプロジェクトでは、数千万~数億の投資になることも多く、中堅、中小企業の中にはMESを導入したくてもできない状況がありました。さらに、グローバルで見てもなかなか規格が統一されていません。その中で、私たちは3年前に立ち上げ、導入してきた個別MES開発のプロジェクトノウハウと、アウトプットのツールである『MotionBoard(モーションボード)』があるので、アウトプットやKPIからMESを考えてみようという視点で『MESOD(メソッド)』の製品開発をスタートしました。
『MESOD(メソッド)』とは?
荏原: 『MESOD』は、MESの中でもよく使われる機能を4つ絞って、もっと簡単にはじめられるMESアプリケーションを提供します。その4つの機能とは、1.工場の設備稼働モニタリング、2.製造モニタリング、3.設備のメンテナンス状況の把握、4.品質の問題やばらつきの管理です。この軸に絞り、他のものは『MESOD』の中には入れていません。
小泉: これまでMESを導入していない中小工場が顧客となるイメージでしょうか。
荏原: それもひとつです。大手でもプロセス系ではない組み立て加工工場にはまだMESが広がっていないので、そういった工場にも使っていただきたいと考えています。
小泉: スマートファクトリーでは、今お話いただいたようなことをしたい、という要望が大半ですが、まずは可視化だけといったサービスが多いですよね。
荏原: 私たちも見える化の先の課題は感じていました。「そのデータを生産性に生かすところは何だろう?」と考えて腹落ちしたのが、先ほどの4つでした。結果的にそれはMESで考えているところと同じだと再確認できたので、商品にできるのではないかと。
小泉: IoT化されていないときのMESは、あくまでも工場内の話でしたよね。それがクラウドにデータがあがって、工場間や下請け工場の生産性を見ようという流れが、ようやく最近でてきたということですよね。
荏原: 私たちの商品でいうと、『Light IoTソリューション』がIoT化の第1段階目に適用してもらうもので、その先に進めていただいた2段階目として『MESOD』をご用意しています。
これまではモノサシがなかったのだと思います。新しい設備がいるのかいらないのか、人が足りないのか足りているのかなど、本当にそれらに投資していいのかどうか、経営側も現場も判断できる基準がありませんでした。それらが、まずは見える化で状況がわかってきました。その先として「何が生産性向上の打ち手になるのか?」となりますが、そこにはMESの考え方を入れることが重要になってくるのです。

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