IoTデバイスの普及により、それぞれの機器に対する連携制御のアクセス集中負荷や、膨大なデータの収集などインフラにかかるコストが非常に膨大になっている。機器をIoT化したにもかかわらず、AIの知識データ不足が原因で正しく機能せず、データ収集コストの維持に対する付加価値を作り出せずにコストだけがかさんで失敗するケースが多々見受けられる。
また、そうしたIoT機器は機器そのもののセキュリティだけではなく、IoT機器が収集する機密情報や個人情報の管理においても、欧州のGDPRにあるように非常に厳重な対応が求められている。増え続ける情報に対するセキュリティ対応に加え、人間のオペレーションに起因して発生するリスクへの対応が必要になる昨今において、IoT対応は非常に難しい状態にあるといえる。
株式会社TRIARTは、スーパーコンピュータやクラウドコンピュータを構築する際に用いられるグリッドコンピューティング(※)を、パソコンやスマートフォン、ドローン、自動車など様々な機器間でブロックチェーンを活用して連携させることで、デバイス群そのものをコンピュータにする技術「クロスコンピューティングアーキテクチャ(XCOA)」の実用化に成功し、提供を開始した。
クロスコンピューティングは、様々な機器をP2Pで接続し、機器同士が相互につながることで、自律制御しながらインターネット上で計算も可能なコンピュータを形成できるという。IoT機器のネットワークそのものがコンピュータになることで、クラウドサーバから全IoT機器に対して集中管理する必要から解放されるだけでなく、端末同士の処理でクラウドサーバ以上の速度で処理をすることが可能となった。
また、機器同士の連携に対して、ブロックチェーンを応用して相互に改ざん不能な仕組みをつくることで、不正やエラーの検知、改ざんへの対策を立てることができる。さらに、これまで扱えなかった規模の個人情報を伴うデータ処理を情報を公開せずに集計が可能となり、コンピュータやIoTデバイスはクロスコンピューティングで参加するだけで大きなシステムの一部として保証されながら動作を行えるという。
同技術により可能となるソリューションは、以下の通りである。
- 企業、組織内情報の機密運用化、不正防止
- 個人情報、医療情報などの個人データ活用
- スマートシティ向けの自律型インフラと点検技術
- 通信インフラの弱い途上国などにおける情報サービス
- サーバレスで映像やOSアップデータなどの大規模で安全なデータ配信
- 自動車やドローンの自律制御、高速データ交換
- 産業機器や物流機器の自律制御
- 膨大な知識データと計算力を活用したAI
すでにMicrosoft社のAzureサービスのクロスコンピューティング連携やSurfaceとAzure Sphereを利用したIoT連携などを実現し、今後は関係各社と共同で同技術によるビッグデータやIoT制御、セキュアな個人情報活用インフラ、権利保護されたデータ利用、インフラレス大規模映像配信などのシステムを展開していく方針である。
※ 複数のコンピュータを並列で組み合わせて大規模な計算処理を実行する技術
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