IDC Japan株式会社は、働き方改革に関する調査(2019年1月実施、1,000社の回答)を行い、その分析結果を発表した。
これによると、2018年で残業時間短縮やテレワーク、IT利用により働きやすい環境を進める「働き方改革」を実施している企業は、従業員数1,000人以上の大企業では78.3%、100~999人の中堅中小企業では53.5%、全体では66.7%となった。
働き方改革を実施している企業の中で、大企業ではより多くの施策が実行されており、特にテレワーク関連の実行率は中堅中小企業と2倍以上の差が開いた。また、大企業では働き方改革のためのITツールの導入は約半数の企業で進んでいるが、中堅中小企業では約36%と、中堅中小企業のIT活用の遅れが目立っている。
働き方改革導入により、残業時間短縮や生産性向上などの効果があったと考える企業は約61%(大企業:約60%、中堅中小企業:約62%)で、従業員規模による差は見られなかった。一方、働き方改革を導入するにあたり生産性向上のための数値目標設定を行っている企業(以下、数値目標設定企業)は、働き方改革実施企業の中で約40%、数値目標設定を行っていない企業(以下、数値目標未設設定企業)は約27%あった。
この数値目標設定企業と数値目標未設定企業の働き方改革による効果を見ると、数値目標設定企業では約79%、数値目標未設定企業では約61%と、働き方改革導入効果に大きな差が見受けられた。働き方改革を導入/運用し、その効果を生み出すには、生産性向上のため数値目標設定と測定が重要になると言える。
また、その生産性向上のための数値目標設定とその測定を行うには、ITを活用することが重要となる。数値目標設定企業は、働き方改革を進めるにあたり、ノートPCやタブレットなどのハードウェアの増強のみならず、様々なITツール(ソフトウェアまたはシステム)の導入やテレワーク導入などITへの投資が積極的であることが明確となった。
一方、数値目標設定企業で、働き方改革導入や運用を行い、その効果が見られないと考えている企業の主な要因は「仕事量が一部の社員に偏ってしまった」ことだった。数値目標設定企業でこの問題点が明確になったことは、大きな収穫であると言える。このため、この数値目標設定企業での次の課題は、従業員の仕事量の山崩し(平準/分散)をいかに行うかであり、仕事量をビジュアル化し、これをシェアする管理が重要になるとIDCではみている。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は「働き方改革の導入/運用を行っている企業で、その開始当初に業務の棚卸や生産性向上のため数値目標設定および測定を行っている企業は約40%と少なく、“働き方改革”という言葉だけが先行している企業が多い。働き方改革によって成果/生産性を上げるには、数値目標設定と見直しのサイクルが重要となり、そのためにITを十分に活用すべきである」と述べた。
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