Fracta Leap株式会社と栗田工業株式会社は、水処理インフラの持続可能性のために、デジタル技術による抜本的な生産性改善を目的とした共同プロジェクト「メタ・アクアプロジェクト」を2020年に発足している。同プロジェクトでは、主にAI・IoT技術を用いて、水処理プラントのEPC及び運転管理のスマート化(効率化・高度化)を推進している。
このほど、両社は同プロジェクトの第1弾としてAI最適運転ソリューションを開発し、その実プラント検証を終え、特許を出願したことを発表した。
同ソリューションは、水処理において費用と電力消費量の占める割合が高いRO膜装置(※)を対象に、AIによって過去データなどから同装置の運転操作を最適化することで、運転費用とCO2排出量(電力消費量他)の同時削減を実現するものである。
2020年12月から実施している同検証では、AI最適運転による電力消費量の削減効果を確認することができた。この結果からメンテナンス頻度の減少も考慮すると、従来と比較して運転コストの約4割・CO2排出量の約1割を削減できることが見込まれるという。同成果を受けて、2021年2月末に両社共同にて同ソリューションに関する特許を出願した。
なお、同プロジェクトでは、他にも複数の水処理向けAI最適化ソリューションをシリーズとして開発しており、それらを束ねた複合型サービスとして、国内外の企業にDXによるコスト削減や脱炭素化といった価値を提供していく。具体的には、RO膜装置の前処理に位置する各種装置もAI最適運転の対象とすることで、水処理プラント全体のスマート化(デジタル化・最適化)を図る。
※ RO膜(逆浸透膜)装置:RO膜は、水中のイオン類や有機物を除去する膜で、主に半導体・液晶の製造に必要な超純水分野や、各種民間工場における排水回収、さらには海水淡水化プラントなどの分野で使用されている。同装置の運転には、給水ポンプで原水に高圧力をかけRO膜を透過させる必要があるため、その電力消費量削減が水処理における重要課題の一つとなっている。実プラント検証で対象となったラインでは、ライン全体の電力消費量の約6割を同装置が占めていた。
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