媒体の制作過程においては、ファイルそのものを複数の担当者に向けて発信する確認依頼に始まり、各担当者が入れた指摘・修正指示の共有、及びその集約作業が大きな業務負荷となっていた。また、制作ファイルの共有や指示の意図を確認する必要が生じることや、人により修正指示の基準が異なることがあるため、対面でのコミュニケーションが必要となる場面も多く、リモートワーク下でこれらの業務をスムーズに実施することが課題となっていた。
凸版印刷株式会社は、金融業界向けの印刷物・デジタル媒体における制作から校正業務の効率化を支援する「AI校閲・校正支援システム」を2019年10月より提供している。
同サービスは、AIが導入企業やその業界特有の表記や専門用語を学習することで、各企業が求めている基準に合わせて誤表記を検出することができる。
また、媒体独自の制作ルールや基準をシステムが管理し、異なる制作者・管理者による品質のばらつきを防止するほか、確認者が完成文書をチェックするだけでなく、制作段階における文章チェックに合わせたインターフェースをそれぞれ提供することで、制作時のチェックからオンラインでの赤字入れ、修正指示出しまでの制作フロー全体のデジタル化・効率化を支援する。
このほど、同サービスの更なるユーザー拡大と利便性向上を図るべく、オンライン校正・回覧機能及びコミュニケーション機能を強化した。
今回のアップデートにより、赤字入れを同一ファイルに対し複数人で同時に、より手軽に行うことが可能になった。さらに、関係者間で校正内容や疑問を共有し速やかに解決・認識統一ができる。これにより、リモートワーク下での社内回覧・校正業務をより容易に行うことが可能だ。
また、自動チェック機能と組み合わせることで、アップロードしたファイルに対して、問題箇所にアラートが提示された状態から校正業務を開始することができる。自動チェックを元に複数人で制作ファイルを確認できるため、リモートでの確認・校正業務を支援するだけでなく、作業者の負荷削減と効率化に貢献する。
さらに、日本語誤り箇所の推測精度の向上を目的として、学習~推論アルゴリズムにGoogleが発表した自然言語処理モデル「BERT」を採用した。これにより、BERTの特徴である追加学習のしやすさを活かし、効率の良い精度向上を行うことが可能となる。
なお、同サービスの利用料金として、初期費用が500万円、運用費用が40万円/月となっている。
凸版印刷は今後も、金融業界を中心に同システムの拡販を進め、2022年度までに関連受注を含めて累計100億円の売上を目指すとしている。
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