近年、ヘルスケアや社会インフラ、ものづくり分野をはじめとする様々な場面で多くの時系列データが収集され、AIを活用した状況判断や異常検知が行われている。
その中でも、AIによる判定結果の根拠を説明することが求められているが、時系列データの場合はAIの判定要因が多種多様に存在するため、専門家であってもどのようなデータの変化が異常判定に影響したのかに気づきにくく、異常な状態への適切な対応や防止策につなげることが難しいという課題があった。
富士通株式会社とフランスの国立研究機関であるInriaは、Topological Data Analysis(以下、TDA)(※1)技術をベースに、時系列データにおいてAIによる異常判定の要因を特定し、正常と異常間の判定の変化を視覚的に提示できる技術を開発した。
同技術は、富士通が開発した時系列データを特徴ごとに分類して異常検知する解析技術を用いて、AIにより異常と判定されたデータから、異常判定の要因となった特徴と、そうでない特徴を平面(TDA空間)上にマッピングする。その平面上で、要因となった特徴の点データを、要因でない特徴の点データ群に近づける変換を行う。そして、変換後の点データ群の特性に基づいて、時系列データを復元し、正常と判定されるデータを生成する。
これらの結果から、時系列データの読影(※4)を通じて病気の原因を推定する際の参考にすることが期待できる。また、これまで困難だった病気の予兆判断や予防的な治療法の発見、解明されていない病態のメカニズム解明への応用など、医学的発展につながることが期待される。
※1 Topological Data Analysis(TDA):データをある空間内に配置された点の集合とみなし、その集合の幾何的な情報を抽出するデータ分析手法のこと。
※2 せん妄:意識障害の一種。
※3 Slowing現象:せん妄発症時の脳波に徐波と呼ばれる緩やかな波が混入した状態。
※4 読影:データを観察して診断に必要な情報を取り出すこと。
プレスリリース提供:富士通
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