少子高齢化に伴う人手不足や製造現場での技能伝承の課題を背景として、産業基盤のDXによる「遠隔化・自動化」の推進が喫緊の課題となっている。
製鉄現場では、溶けた鉄の成分、品位調整をする際に発生するスラグ(金属を製錬した時に出る副産物)を分離する作業が必要になる。この作業では1,000度を超える高温溶融物を扱うため、作業員は現場に設置したカメラで確認しながら重機を用いて遠隔操作で作業を実施している。
高温溶融物の状況が変化する中での作業には、作業員の知識・経験に基づく判断が重要であり、効率的に技能伝承を進める上で実作業の指標化や熟練技能者のスキル・ノウハウを形式知することが難しいといったことが課題となっていた。
株式会社エクサウィザーズと日本製鉄株式会社は、スラグ分離作業における重機操業デジタル化プロジェクトを進めている。
このほど、エクサウィザーズが提供するマルチモーダルなロボットAIソリューション「exaBase ロボティクス」を用いて重機操業における作業状況を可視化し、熟練作業の効率的な技能伝承を実現するデータ解析基盤を構築し、2022年2月より日本製鉄の東日本製鉄所君津地区において同解析基盤の検証を開始した。
exaBase ロボティクスは、AIプラットフォーム「exaBase」のロボット向けAIとして、対象物の画像データ、現場機器・ロボット制御データやシミュレータ生成データ等、様々なマルチモーダルデータを活用して工程の自動化・最適化を可能にするロボットAIソリューションである。単純作業の代替や熟練者の動作再現等、様々なシーンで活用することができる。
- センサーデータ:重機の操業位置、速度等
- 動画データ:スラグ分離作業の状況、溶融物の状態等
- 操業情報:処理日時、作業者情報等
制御板の操作情報と重機先端のリアルタイムな位置を取得するセンサーによって、オペレーターによる操作信号と重機の位置変動を取得し、作業傾向を解析
操業エリアに取り付けられたカメラから得られた画像データにより、スラグ分離状況を解析
各操業ごとの担当者、実施日時、対象作業難度を上記データに紐付け、統合的に解析を実施


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