冷媒は、熱を温度の低い所から高い所へ移動させるために使用される流体で、冷蔵庫やエアコンにて活用されている。しかし、オゾン層を破壊する影響がゼロではないため、地球温暖化の抑制へ向け「モントリオール議定書」に基づいて、空調機器に使用されるHFC(代替フロン)冷媒の生産・消費量の段階的な削減が世界的に進められている。
また、HFC冷媒の生産・消費量の段階的な削減に伴い、既にビルなどの建物に設置されている空調機器の保守・メンテナンスに必要な冷媒の供給不足が想定されている。
空調機器の入替やメンテナンスの際に回収される冷媒は不純物を取り除くことにより、品質基準を満たした冷媒に再生し、繰り返し使用することができるが、再生冷媒の流通情報や品質を管理する仕組みがないため、空調機器の廃棄時等に回収された多くの冷媒は破壊処理されているという。
そうした中、ダイキン工業株式会社は、冷媒循環のデジタルプラットフォームの構築に向けて、システム開発の実証実験を開始した。
実証実験では、日本アイ・ビー・エム株式会社のブロックチェーン技術を活用し、冷媒の製造から回収・再生・破壊におよぶ循環サイクル全体の情報管理を可能とするデジタルプラットフォームの構築を目指す。
まずは、既に設置されている空調機器の入替、メンテナンスにおいて回収される冷媒を再生する取り組みから開始する。
さらに、冷媒の再資源化促進のパートナーとして、北九州市環境局、住友不動産株式会社、株式会社竹中工務店、阿部化学株式会社、アオホンケミカルジャパン株式会社、株式会社環境総研、株式会社クリエイトの協力を得て、多岐にわたるステークホルダーとの冷媒管理および、冷媒の品質を担保する再生・回収システムの構築に向けたデジタルプラットフォームの有効性を検証する。
また、冷媒循環のデジタルプラットフォームの開発と並行して、特に回収・再生プロセスの可視化に向けて業務管理ソフトをベンチャー企業と共同で開発している。
そして、これまでダイキンが提供してきた冷媒漏えい検知機能搭載の空調機器、フロン排出抑制法の点検・維持サービスなどと連携することで、冷媒充填時や機器の使用期間中の情報管理が可能となる。
これにより、フロン排出抑制法におけるステークホルダーの法的義務にかかる工数およびコスト面での負荷軽減を図ることが可能だ。
今後は、業務管理ソフトを含む冷媒循環のデジタルプラットフォームを同業他社問わず活用できるオープンなプラットフォームとして公開し、冷媒の漏えい防止、回収・再生率の向上に貢献していくとしている。
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