沖電気工業株式会社(以下、OKI)と大阪公立大学 大学院情報学研究科 阿多信吾教授は、取り組んできた「通信トラフィック分析に関する共同研究」の成果として、IoT機器の不正接続やマルウェア感染などネットワークへの不正侵入を即座に検知する技術を開発した。
今回開発された技術を活用し、実際に大阪公立大学 杉本キャンパスのコアネットワークにて取得した、ネットワークカメラやプリンターなどのIoT機器を含む機器のトラフィックデータ(計9種別、47機種)を学習することにより、通信トラフィックの特徴からIoT機器をリアルタイムで識別できるか評価した。
その結果、2023年1月の実証実験において、IoT機器が接続されてから即座に97.7%の精度で識別できることが確認された。
またOKIは、この共同研究の成果を活用し、エッジ領域のネットワーク機器をリアルタイムで監視するエンジンおよびGUIを備えた「リアルタイムネットワーク監視システム」を開発した。
このシステムは、平常時の通信状態から逸脱した挙動を検知する「通信非定常検知機能」や、ネットワーク内の機器の設定不備や安易なIDやパスワードを検知する「脆弱性スキャン機能」、ネットワーク内の機器接続や通信トラフィックを可視化し管理者に通知する「監視GUI(Graphical User Interface)」などが搭載されている。
これにより、ネットワーク内の接続構成や通信状態を可視化し、不審な機器やリスクがあると思われる機器を自動的に抽出する。

また、これらの機能は、小型かつ軽量な装置単体で提供され、ネットワークスイッチのミラーポートに接続することで、すでに運用中のネットワークでも後付け設置で利用することが可能だ。
OKIは、「リアルタイムネットワーク監視システム」を、社内の複数の生産工場で運用中であり、現場のネットワーク管理者からフィードバックを得ながらシステムの改良を続けている。
また、このシステムは、セキュリティポリシーの徹底が困難な海外拠点や、セキュリティ対策ソフトの導入が困難なレガシー機器を運用するネットワークの監視にも適しているとしている。
現在OKIは、早期の商品化へ向け、さまざまな環境での実証事例を増やすべく、すぐに提供可能な検証機を準備し、実証実験のパートナーを募集している。
なお、2023年7月12日・13日に開催される「OKIグループフェア in KANSAI 2023」に、「リアルタイムネットワーク監視システム」を展示し、関連するセミナーも実施する。
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