非地上系ネットワーク(non-terrestrial network:NTN)は、陸・海・空にまたがるグローバルなカバレッジを変革しつつあり、IoTアプリケーションにも途切れない接続性をもたらすという。対地同期軌道(GSO)と静止軌道(GEO)の衛星によって安定した通信が保証されるため、難しい条件下でも性能とユーザー・エクスペリエンスが向上する。農業や海運を含むロジスティクス分野、アセット・トラッキングなどは、いずれも広範なカバレッジや許容可能な遅延性、信頼性に大きく依存するため、こうした利点が活かされる。
GSO衛星は、その見かけの動きとは違って地球の極のような高緯度をカバーしており、IoTの活用範囲を広げている。一方、地球に対して静止したGEO衛星は、一定の地域で継続的にカバレッジが得られるため、常にIoTを接続しておくのに最適なうえ、アンテナ設計が簡単でコストも低く抑えられる。こうしたことから、IoTデバイスの性能や接続範囲に加え、全体的な技術経済性を最適化するためには、適切な衛星軌道の選択が重要となる。
ローデ・シュワルツとQualcomm Technologies, Inc.は共同で、NTNを介したNB-IoTのためのテストを実施し、3GPPリリース17規格に準拠した対地同期軌道(GSO)および静止軌道(GEO)衛星コンステレーションによる様々な動作モードを網羅した双方向IoTを検証すると発表した。
この試験セットアップがカバーする機能は主要なものだけでも、大きな遅延やドップラー効果にともなう時間および周波数の同期、低い信号対干渉および雑音比(SINR)、省電力メカニズム、衛星エフェメリス、GNSS情報の取得などがあげられる。
これらのテストは、Qualcomm Technologiesの最新NTN用チップである「Qualcomm 212S」と「Qualcomm 9205S」の検証ツールとしての役割を果たす。R&S CMW500ワイドバンド無線機テスタ1台で、R&S CMW500プロトコル・テスト・フレームワーク・シナリオと3GPPリリース17対応のR&S CMW NTN IoTプロトコル・イネーブラを活用でき、エンジニアはQualcomm TechnologiesのNTN用チップを搭載したNTN NB-IoTデバイスを実際的な条件のもとで評価できる。
また、このR&S CMW500ワイドバンド無線機テスタにR&S SMBV100Bと組み合わせてGNSS信号を生成し、GSOおよびGEO衛星基地局をエミュレートする。こうしてシミュレートしたGSO/GEO衛星ネットワークとのリアルタイムかつ総合的な接続を確立することにより、エンジニアは3GPPリリース17仕様に従って関連するシグナリング・テストとRFシナリオ・テストを実行可能となる。
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