IDC Japan株式会社は、国内WANサービス市場の地域別予測を発表した。これによると、国内法人向けWANサービス市場では、パブリッククラウド接続用途のイーサネット専用線などを中心に大都市圏がその他の地域より売上額が高いと予測している。
国内WANサービス市場における2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Raet)を地域別に見ると、東京都が0.7%、近畿地方が0.5%、東海地方が0.1%、関東地方(東京都を除く)が0.1%となり、これらの地域を合わせた大都市圏では0.5%と予測している。
一方で、その他の各地域は、ほぼ横ばいかマイナス成長と予測しており、その他の地域を合計した市場の同期間のCAGRはマイナス0.4%と予測している。地域による成長率の差は、パブリッククラウド接続用途での利用などが多いイーサネット専用線などでより顕著になっている。
WANサービスの種別ごとに見ると、イーサネット専用線では、2022年~2027年の5年間のCAGRは東京都で3.4%、近畿地方で2.8%と、市場全体の2.4%よりも高い数値を予測している。東京都や大阪府にクラウド事業者への接続点が集中していることがその背景にある。
L3ベストエフォート型で実績を見ると、近畿地方での成長率が高い傾向にあることが分かった。2022年の前年比成長率は、東京都の2.8%に対して近畿地方はそれを上回る3.2%になった。東京都では、自営のインターネットVPN構築をサポートできる事業者が多く存在している。
そのため、いずれもSMB(Small Medium-sized Business:中堅中小企業)向けの廉価なL3ベストエフォート型回線の需要が高い地域でありながら、インターネットVPNとの競争が激しい東京都の方が、近畿地方よりも成長率がやや低くなっているとIDCは分析している。
IDC Japan Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャーである山下 頼行氏は「データセンターの新設やスマートビルディングの建設を含む再開発計画は、WAN の新たな需要を喚起する。また、WAN のクラウド接続オプションはSMB 層でも重要な機能になりつつある」と述べている。
続けて「通信事業者やシステムインテグレーターは各地で進行しているデータセンター建設や都市の再開発計画を注視し、そうした変化を自らのWAN サービスの事業機会にすると共に、クラウド接続オプション機能のさらなる強化を図るべきである」と述べた。
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