通常、ロボットの動作を設計するには、ティーチングと呼ばれる作業で、専門の技術者がロボットを実際に動かしながら動作を作り込んでいく必要がある。
実際の生産現場では、時間当たりの作業量を増加させたり、ロボットに複雑な作業を担わせたりするために、複数台のロボットによる同時動作が求められる場合があるが、複数台のロボットに対するティーチングは、互いが衝突せず、動作時間が短い最適な経路で動くよう調整しなくてはならない。
そこで株式会社デンソーは、複数台のロボットが高速で同時作業するために、最適な動作経路を自動生成するAIアルゴリズムを開発した。
一般的に、アルゴリズムによる動作経路の自動生成は、ロボットが複数台の場合、経路パターンが膨大となり、実用的な計算時間で最適な経路を算出するのは難しいとされている。
今回デンソーが開発したAIアルゴリズムでは、経路を最適化する処理の過程において、熟練のロボットティーチング技術者の知見を反映させ、有望な経路パターンの絞り込みを効果的に行う。
このAIアルゴリズムの経路最適性と計算高速性のレベルを確認するために、今回、3台のロボットが高速に作業対象を整列する実証試験を行ったところ、熟練のロボットティーチング技術者が動作設計したロボットに比べ、デンソーが開発したAIアルゴリズムを使用したロボットでは、作業時間を20%以上低減できることが確認された。
デンソーは、今回開発したAIアルゴリズムを、デンソーウェーブ製のロボット向けに実用化することを目指すとしている。
なお、デンソーとデンソーウェーブは、2023年11月29日から12月2日まで東京ビッグサイトで開催される「国際ロボット展2023」にて、今回開発した技術を参考出展する。会場では、3台のロボットが高速に作業対象を整列する実機でのデモンストレーションが展示される予定だ。
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