バーチャルプロダクションは、スタジオの大型スクリーン等に3DCGの仮想的な背景等を投影し、その前に人や物を配置することで、現実の世界で撮影したような映像をつくり出す手法だ。
近年、バーチャルプロダクションによる映像制作が国内外で広がり、特に使用許諾に時間や手間を要する公共施設等の3DCGデータへのニーズが高まる中、これらのデータのバリエーションはまだ少ない状況だ。
また、都市を実際に撮影する場合は、交通・人流の規制管理や日照条件といったハードルがあった。
こうした中、大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、映像制作会社等に向けて、地域の文化資源を活用したバーチャルプロダクション用の3DCGデータとして、新たに「銀座四丁目交差点(東京都)」を制作し、2023年11月28日に提供を開始する。
今回発表された「銀座四丁目交差点」3DCGデータは、地域の魅力発信の一環として、交差点を起点に東西南北約1kmのエリアを3DCGで制作し、都市部ならではの建物や景観を忠実に再現したものだ。
通常バーチャルプロダクション用の3DCGデータを制作する際、都市部は大きさや質感が異なる建物・道路・景観などが複雑に入り組んでおり、高度な技術と知識が求められる。
そこでDNPは、印刷技術の応用・発展によるデジタルアーカイブ事業等の実績で培った撮影・加工技術、3Dデータ上での凹凸や陰影の表現技術を活かし、細部まで忠実に再現した都市部の3DCGデータを開発した。
これにより、天候や時間帯等の制約を受けない安定した映像撮影が可能であることに加え、広い対象エリアのデータも活かすことができ、非日常的な映像表現や、本来の街の奥行きを感じさせる撮影が可能だ。

またDNPは、国内外で3,000件以上の計測実績を持つ協力会社と連携し、同社保有の「点群データ」を活かしたバーチャルプロダクション用データを提供する。
これまでは、写真から制作した3DCGデータで現実空間を再現すると、現実にはない違和感が残る課題があったが、点群データを活用することにより、現実空間と同じ縮尺で再現することができる。
加えて、計測済みの点群データの活用によって、制作工程の最適化を図り、企業等が求める背景(ロケーション)の早期提供を可能にする。
なお、今回の「銀座四丁目交差点」のデータは、ソニーピーシーエル株式会社が運用する、デジタル背景アセットライブラリーサービス「BACKDROP LIBRARY」で公開、販売される。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。