富士通株式会社は、O-RAN ALLIANCEが定めた仕様(O-RAN仕様)に基づくネットワーク運用管理装置(SMO)(※1)「Virtuora Service Management and Orchestration」(以下、Virtuora SMO)に、ユーザーの位置情報の分布をもとに通信トラフィックを推定する富士通のAI技術を適用した省電力アプリケーションを搭載し、RAN装置との接続試験を2023年11月17日に実施した結果、数百mから数km四方を単位とする基地局ごとのセル単位でトラフィックを推定する従来手法と比べて20%以上の省電力効果を実証したと発表した。
あわせて、大手通信ネットワーク測定器ベンダーであるVIAVI Solutions Inc.(以下、VIAVI)のO-RAN仕様に基づいたRAN装置との接続試験も行い有効性を検証した。
同実証は、米国ニュージャージー州にあるラトガース大学 COSMOSラボにて、O-RAN仕様に基づいて富士通のVirtuora SMOとVIAVIの検証装置との相互接続試験を実施し、マルチベンダーでの相互接続、およびエンドツーエンドでの接続評価(※2)を実施し、有効性を検証した。
Virtuora SMOには、通信トラフィックを推定する富士通のAI技術を適用した省電力アプリケーションを搭載している。同AI技術は、ユーザーの位置分布データをもとに、100m四方の細かいエリア単位で通信トラフィックを時系列に予測するアンサンブル時系列予測技術と、エリア単位ごとにカバーしている複数基地局の中から、スリープするセルと起動するセルの組み合わせを選択し、最も省電力効果の高い組み合わせを迅速に切り替える組合せ最適化技術で構成している。
富士通はマルチベンダーでの接続評価、VIAVIはRANシナリオの生成と省電力の分析監視を主に担当し、検証にアドバイザーとして参画したAT&T Communications(以下、AT&T)などのオペレーターは、オペレーター視点でのテスト項目や運用観点でレビューを行い、AT&Tなどの評価のもと、接続試験を実施した。
今回、マルチベンダーでの相互接続試験、およびエンドツーエンドの接続評価が成功したことにより、Virtuora SMOには他社のRAN装置との接続能力があることが実証された。
なお、今回の成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」(JPNP20017)の委託事業の結果得られたものである。
※1 ネットワークサービス運用管理装置(SMO):O-RANアーキテクチャにおいてService Management and Orchestration(SMO)で定義されるRANの運用や保守の最適化、ライフサイクルを管理するシステム。
※2 エンドツーエンドでの接続評価:ここでは、VIAVIのRIC TestでシミュレートしたvRAN基地局装置、端末までを接続したSMOとの通信品質試験を示す。
※3 Closed RAN:ここでは、O-RAN準拠していない固有インターフェースを使用した無線基地局を示す。
※4 マルチRAT:複数の無線アクセス技術(Radio Access Technology)で、LTE、3G、GSMなどを示す。
※5 RIC:Ran Intelligent Controllerの略でRANのパラメータ設定や運用の最適化を自律的に実行・制御するコントローラー。
※6 xApp:各種情報の分析や制御ポリシーに基づいて、RANデバイスを高速かつ最適に制御する機能を提供するアプリケーション。xAppはNear-Real-Time RAN Intelligent Controller(Near-RT RIC)で動作する。
※7 rApp:リソースの最適化やRANからの運用データに基づくRANの運用管理を高度化および自動化するアプリケーション。rAppはNon-Real-Time RAN Intelligent Controller(Non-RT RIC)で動作する。
プレスリリース提供:富士通
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