近年、5G・6G対応の通信機器やスマート家電、スマート工場、自動運転など、無線通信技術が活用され始めている。しかし、これらの電波が互いに干渉し、通信速度の低下や周辺機器の誤作動、盗聴や不正アクセスなどのセキュリティ上のリスクが生じることも問題となっている。
これらの問題への対策として、特定の周波数の電波を選択的に反射・吸収・透過する電波制御シートの設置が求められているが、現在使用されている電波制御シートは、金属板や金属酸化物を多量に含有した樹脂などが用いられ、重量があり、厚さもあるため設置箇所が限られるという問題があった。
そのため、5G関連機器や自動車レーダ機器の周辺に設置する場合には、機械設計が大きく制限されるという課題があった。
そこで、株式会社マルアイは、5Gで利用されているミリ波帯とSub6帯において、特定の周波数の電波を反射・吸収・透過できる「周波数選択性電波反射シート」「周波数選択型電波吸収シート」「超狭帯域型電波吸収シート」を開発した。
なお、「周波数選択性電波反射シート」は東京都市大学との、「周波数選択型電波吸収シート」「超狭帯域型電波吸収シート」は青山学院大学との産学連携により開発されたものだ。
これらの開発品は、選択的に電波を反射・吸収・透過できる電波制御シートで、軽量かつ薄型なため、オフィスや工場の天井などにも容易に設置可能であることが特徴だ。
これにより、5G関連機器やIoT機器の安定した通信環境の実現や電波漏洩の低減に寄与する。また、ミリ波関連機器の設計の自由度を妨げることなく誤作動や電波障害を解決する。

マルアイは、これら開発品の製品化は2025年頃を目指しており、今後はスマートフォンや家電、高速道路などのインフラ、オフィスビルや工場などの建物への活用も視野に入れ、具体的な用途展開を進めるとしている。また、様々な環境での実証実験および顧客へのヒアリングを行い、実用性や機能性を高めていく予定だ。
なお、これらの製品は、2024年1月31日から2月2日まで東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2024 第23回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」の同社ブースで展示される。
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