リクレーマ船は、海面の埋立工事等において、土運船により輸送されてきた土砂を揚土装置により揚荷し、コンベア等を介して埋立地等へ排出する作業船だ。(トップ画)
これまでリクレーマ船による揚土作業は、水中に投入した土砂の堆積状況の把握が困難で、作業員がレッド(重錘:じゅうすい)を使用して水深を確認することで、土砂の投入管理を行う方法が一般的であった
そこで東洋建設株式会社は、同社が所有する大型リクレーマ船「第二東揚(とうよう)号」の施工状況を、4次元で可視化できる新技術「TORe-4D(トーレフォーディー)」を開発した。
「TORe-4D」は、土質性状を事前に把握し、投入後の堆積状況を予測反映することにより、これまでは状況を把握することが困難だった水中への土砂投入作業を可視化することができる技術だ。これを、東洋建設が保有する大型リクレーマ船「第二東揚号」に搭載した。
具体的には、船体やスプレッダー先端部に高精度のGNSS(全球測位衛星システム)を搭載し、正確な揚土位置管理を行う。さらに、ベルトコンベアに設置したレーザ計測装置とスピードモニタで土量の管理を行い、事前に現場試験で計測した含水比やスランプなどの土質条件をシステムに反映する。

そして、揚土時の単位時間あたりの堆積形状を算出し、投入状況(気中部、水中部)などの施工情報を複合的に組み合わせることで、揚土状況を4次元で可視化する。

東洋建設はこのシステムの開発により、初期段階から均等に土砂を投入することが可能となり、外郭施設に与える偏土圧を軽減することができるほか、作業員が行っていた計測作業を自動化することで労力を削減することができるとしている。
今後東洋建設は、「第二東揚号」を活用する様々な現場でこのシステムを導入し、モデル精度の向上やシステムのアップデートを進める計画だ。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。