建築現場において、給排水管や各種設備配管の貫通孔をコンクリート打ち込み時に確保するために用意する「スリーブ」と呼ばれる管は、位置ずれがあるままで工事が進むと後々の修正が非常に高コストになるため、設置位置が設計図面通りであるか、mm単位での検査精度が要求される。
そこで日本電気株式会社(以下、NEC)は、スリーブ管の設置検査を効率化する技術を開発した。
この技術は、NECの独自開発したBIM-2D画像照合技術により、鉄筋コンクリート構造物におけるスリーブ管の設置位置を、タブレット端末で撮影した写真とBIMデータとを自動的に位置を合わせて設置誤差を計測するものだ。スリーブ管毎の高さのばらつきも推定し、補正して計測するため、スリーブ管の高低にとらわれず高精度な計測が可能だ。
具体的には、様々な位置から撮影された画像から、斜めからのスリーブ管の画像を楕円集合としてとらえて、BIMデータの円集合と照合できるようその向きを整合し(正面化)、円集合との誤差を計測して紐づける変換を行っている。
楕円集合と円集合とを紐づける変換を計算する際には、少数の楕円からすべての楕円へと探索範囲を段階的に変化させることで、高精度かつ高速な計算を実現している。
これにより、現場でのARマーカの設置が不要となり、スマホやタブレット端末に搭載されたカメラでスリーブ管が配置されたエリアを撮影することで、自動でBIMデータと照合し、5mm以下の設置誤差を数秒で計測することができるようになった。

今後NECは、技術の建築現場における実証を進め、2024年度内に実用化予定だ。また、スリーブ管の配置検査以外の人手による施工管理・検査業務への適用拡大も検討しているとのことだ。
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