株式会社東芝は、風力発電量を高精度に予測する技術を開発した。これは、風力発電所の地形を考慮して風力を算出する気象予測や独自のAIを組み合わせることで、これまで困難だった発電量予測の高精度化を可能にする。
この技術の特徴は、主に3つだ。1つ目は、独自に運用する気象予測システムにより、風車付近の地形効果を考慮して高度ごとの風速予測データを算出する風速補正AIだ。
2つ目は、過去の風速観測データをAIにより学習し、発電量予測に重要なナセル付近の風速を風向に応じて補正する。さらに風車ごとに、風速と風速ごとの発電量の実績データから、風速と発電出力の関係を示すパワーカーブを学習する出力特性学習AIだ。
そして、風速補正AIが出力した風速と出力特性学習AIで学習したパワーカーブを用いて発電量を予測する。
3つ目は、2つ目に示した発電量予測モデルの発電量予測値と、他の予測モデルによる発電量予測値を混合し、予測誤差の傾向を日々学習しながら予測手法の混合比率を調整することで予測精度を高める点だ。
また、東芝エネルギーシステムズ株式会社(以下、東芝ESS)および東芝ネクストクラフトベルケ株式会社は、経済産業省の実証事業において、2023年12月~2024年1月までの期間を中心に、この技術の検証を行った。
結果として、前日朝の風力発電の平均予測誤差は前年度の実証の平均誤差と比べ6%以上改善した10.1%となった。

なおこの技術は、東芝ESSとドイツのネクストクラフトベルケが共同開発した再エネバランシングシステム「REBSet」に搭載され、発電事業者やアグリゲーターに向けたサービスを2024年度中に開始予定だ。
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