Quemix、誤り耐性量子コンピュータ用アルゴリズムを用いた量子コンピュータ実機上で量子化学計算を実施

株式会社Quemixは、旭化成株式会社との新素材開発の検証実験において、誤り耐性量子コンピュータ(Fault Tolerant Quantum Computer 以下、FTQC)用アルゴリズムを用いた量子化学計算を、クオンティニュアム株式会社の提供するイオントラップ型量子コンピュータ上で実施したと発表した。

今回の研究で、FTQC向けに開発されたアルゴリズム「PITE」の有効性と、今後のFTQCの社会実装の可能性が示された。

Quemixが開発した量子化学計算アルゴリズム「確率的虚時間発展法(PITE:Probabilistic Imaginary-Time Evolution)」は、量子化学分野における基底状態を求める問題において、量子加速が数学的に示されているアルゴリズムの一つであり、FTQC上での動作を前提として開発されたアルゴリズムだ。

一方、クオンティニュアムが開発を進めるイオントラップ型量子コンピュータ「H-Series」は、低エラー率かつ全結合を特長とするマシンだ。回路途中での測定や量子ビットの再利用、量子誤り検出など、FTQCの実現に向けた機能を搭載し、リアルタイムでの量子誤り訂正を使用。誤り耐性量子回路で2つの論理量子ビットをもつれさせることにも成功した。

今回、Quemixと旭化成で共同実施している新素材開発のための検証実験において、FTQC用の量子化学計算アルゴリズム「PITE」を用いて、クオンティニュアム「H-Series」上で結晶中の量子スピン欠陥の基底電子状態計算を実施し、実機における量子コンピュータ上の量子誤りの影響、量子誤り低減の効果を比較・考察した。

具体的には、シミュレーターを用いた理論値「1」に対し、「H1-1E:エミュレータ(量子誤り検出あり)」「H1-1:実機(量子誤り検出あり)」「H1-1(unencoded):実機(量子誤り検出なし)」をそれぞれ計測し、古典忠実度を算出した。

その結果、実機(量子誤り検出あり)での検証値は、古典忠実度0.98という精度で測定することができた。これは、実機(誤り検出なし)での検証値と比べ、0.11ポイント高い精度であり、「H-Series」の量子誤り検出機能の有用性が示されたとしている。

Quemixは、今回の研究の取り組みについて、「FTQC向けに開発されたアルゴリズム『PITE』の有効性や『H-Series』のハードウェアとしての精度の高さを実証するとともに、今後のFTQCの社会実装の実現に貢献できるものと考えている」としている。

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