5月24日(水)から26日(木)にかけて東京ビッグサイトにて、ワイヤレス・テクノロジー・パーク20172017が開催された。
本レポートでは、製造現場における監視・管理への無線通信の活用に付随したテーマで各企業の取り組みを紹介する。
ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017 レポート:
サンリツの製造現場における監視・管理へのIoTの活用 NECの製造現場での無線干渉への取り組み オムロンの製造現場での無線干渉への取り組み
第三回目は、*情報通信研究機構(NICT)が主催する、*Flexible Factory Projectのメンバーであるオムロンの取り組みを紹介する。

>オムロンの事業別売上構成
オムロンの事業別売上構成を見ると制御機器事業が40%を占める(2015年度売上データより)。さらに、工場自動化(FA)分野などで高シェアを誇るのはセンサー類だ。オムロンは、さまざまな現場から集まるセンシングデータの流通を促し、事業拡大につなげようとしている。
工場内の通信経路上に設置された大型設備は、金属の遮蔽物(しゃへいぶつ)であり、通信品質を悪化させる要因となる。また、近年工場でも無線機器の導入が急速に進んでいるが、同周波数帯の無線機器が近くに設置されることで、無線機器間に干渉が生じるそうだ。
オムロンではこうした問題に対して、無線スイッチを工場で使用可能とするため
・サブギガ帯の採用
・アンテナ指向性低減
・工場現場の環境把握
に取り組んでいる。
サブギガ帯の採用
工場内で利用されることの多い2.4GHz帯無線の影響を受けないサブギガ帯(1GHz以下の周波数帯のこと)を採用している。これにより、2.4GHz帯無線より、回り込み性(障害物にぶつかっても波が回り込み、障害物の裏まで届きやすい特性)が高く、障害物があっても安定した通信が可能となるそうだ。
アンテナ指向性の低減
特定の方向に対してだけ,電波の放射を集中あるいは受信感度の高いということのない、指向性を低減したアンテナ設計を行っている。これにより、操作姿勢や設置の自由度が高められる。
工場現場の環境把握
工場現場が無線スイッチの通信品質に与える影響を検証している。ノイズの存在、設備や人の遮断による電解変動などの調査を実施しているようだ。
また、オムロンでは、こうした無線スイッチでの取り組みを、シャッター開閉、あんどん、呼び出しなどの無線化、その他、品質関連情報など工程簡易情報の伝達といった比較的許容遅延の高いところでの応用を目指している。
ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017 レポート:
サンリツの製造現場における監視・管理へのIoTの活用 NECの製造現場での無線干渉への取り組み オムロンの製造現場での無線干渉への取り組み
NICT:総務省所管の国立研究開発法人。情報通信技術の研究開発や、情報通信分野の事業支援等を総合的に行うことを目的とし、全国8か所の研究拠点、2か所の電波送信所をもつ。
Flexible Factory Project:工場内では様々な無線システムが混在することにより、無線通信が不安定化する課題があり、これらの課題に取り組むため2015年6月から、同プロジェクトを立ち上げ、複数の稼働中の工場において、無線環境評価と無線通信実験を1年以上にわたって実施してきた。
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