経済発展と人口増加が著しいアセアン諸国では、化石資源の需要が急増しており、廃棄物の処理に大きな問題を抱えている。
特に、ベトナムにおける農業・水産養殖の中心地であるメコンデルタ地域においては、農業残渣(稲わら、バガス、レモングラス廃材など)や、水産養殖池から排出される汚泥などのバイオマス廃棄物を電力に変換し、利活用するしくみが確立されれば、地域の持続的発展に貢献することが可能だ。
そうした中、工学院大学の白鳥 祐介教授は、ベトナム・ティエンザン省にあるエビ養殖場を実験場所として、バイオガスで作動する固体酸化物形燃料電池「SOFC」と、IoTを導入したエビ養殖技術を確立し、ビジネス化を目指す実証研究を、2022年11月1日~2025年12月31日の間実施することを発表した。
実証するエビ養殖システムは、バイオガスSOFCによるグリーン電力供給と、IoT水管理によるエビ増産システムを統合している。
グリーン電力供給では、地域の未利用バイオマス(レモングラスの葉)とエビ養殖汚泥を、樹脂製のメタン発酵槽に投入し、バイオガスを製造する。
このバイオガスをSOFCに供給して高効率発電を行い、エビの育成に必要な養殖池への空気供給の電力源として利用する。
エビ増産システムでは、IoTを活用して養殖池の水質や養殖関連機器の常時監視・調整を行うとともに、微細な気泡で溶存酸素濃度を高めるマイクロバブルディフューザーを導入する。(トップ画参照)
これにより、エビの生存率・成長率を引き上げ、養殖生産量の最大化を図る。なおIoTは、SOFCの運転管理にも活用される。
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