高知県と、高知電子計算センター、ぷらっとホーム、高知システムズ、NTTアグリテクノロジーの4社は、 IoTで接続した農業ハウス内の機器のデータや農産物個々の出荷データ等を、リアルタイムで一元的に集約するクラウド型のデータベースシステム「高知県IoPクラウド」の更なる普及促進に向け、920MHz帯を利用する新通信規格IEEE802.11ah(※1)を活用したプライベートネットワーク(※2)の整備によりIoPプロジェクトの普及促進を図るモデル化実証の実施を発表した。実証は2022年12月10日~2023年3月上旬まで行われる。
高知県では、施設園芸ブランドや農家所得の向上につなげるべく、ほ場内の栽培環境データや、県全体にわたる農産物個々の出荷データなどをクラウドに集約・確認できる仕組みを構築し、データに基づく栽培(データ駆動型農業)の実現をめざすIoPプロジェクトを推進している。
年々IoPクラウドの利用者数等は増加しているものの、個々の生産者の経済的負担が課題であり、高知県の「データ連携基盤活用実証事業委託業務(革新型)」公募型プロポーザルに、4社による共同企業体として解決案を提案し、県の採択を受けて、その実証に取り組んでいる。
同実証では、高知県安芸市の「JA高知県安芸集出荷場」を基地局とし、周辺のほ場とIEEE802.11ah(以下「802.11ah」と言う)によるプライベートネットワークを構築することで、複数の生産者ほ場(整備数:6農家・10ほ場)にある各種センサー機器を802.11ahで集約し、IoPクラウドに接続できる環境を整備した。
さらに、ほ場付近の用水路や河川監視といった防災分野等の新たなユースケースへの展開も行っており、周辺生産者への情報共有を図るように取り組んでいる。
これまで各生産者がIoPクラウドを活用するためには、ほ場内の環境データ(温湿度および作物の画像など)をIoPクラウドに送信するための通信環境がほ場ごとに必要だったが、ほ場のエリアが集積している高知県の地域特性を踏まえ、新通信規格802.11ahを活用することで、集約された基地局からIoPクラウドへの通信を行い、ほ場ごとに発生していた通信料をなくすなど各生産者の負担を軽減し、IoPクラウドを導入しやすくなる通信環境整備(投資の最適化)を図った。
同実証において、プライベートネットワークを有効活用した効率的・経済的な通信方法を実現することで、接続形態や接続機器などの選択肢を増やし、生産者がIoPクラウドを導入しやすくなる仕組みづくりを行い、更なる利用者拡大を図る。
※1:920MHz 帯を利用するIEEE 標準規格で「従来のWi-Fi に比べ伝送距離が拡大」「数Mbps のスループットの可能性を有する」等の特徴を持つWi-Fi規格。
※2:通信事業者が提供する無線通信サービスとは異なり、国、自治体、一般企業等が事業運営や業務効率化のために開設・運用している無線ネットワーク。(一般的にはローカル5G・LPWA・Wi-Fi等がある)
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