寒河江市をはじめ山形県の基幹産業として農業があげられるが、農業従事者の高齢化や減少、人手不足を背景に、さらなる効率化・省力化を達成しなければ、農業分野の維持・発展が難しい状況となっている。
そのような中、寒河江市は2022年に農業や福祉部門の職員をメンバーとしたLPWA関係者会議を立ち上げるとともに、会議において市内農業従事者や福祉関係者などとの意見交換や、LPWAなどを活用した自営無線ネットワークの整備による、農業や福祉や防災分野などの各分野における課題解決に向けた検討を行っている。
このほど、寒河江市と東日本電信電話株式会社 山形支店(以下、NTT東日本)は、寒河江市内の農業関係者の協力のもと、農業分野におけるLPWA活用モデルの普及促進に向けた実証実験を2023年3月中旬より開始する。
同実証実験では、LPWAの効果が見込まれる「さくらんぼ凍霜害対策」「さくらんぼの盗難対策」「鳥獣害対策」などの課題解決に向けた実証実験を実施する。
さくらんぼ凍霜害対策では、LPWAおよび関連機器を活用して、さくらんぼ圃場の温度や湿度などの環境情報を取得し、遠隔からスマートフォンなどのデバイスで確認することとし、実際に農業従事者が使用することで操作性・有効性などを評価する。
さくらんぼ盗難対策では、LPWAおよびIEEE802.11ah、関連機器を活用して、疑似的なさくらんぼ圃場に監視カメラを設置し、取得した監視映像または画像を遠隔からスマートフォンなどのデバイスで確認することとし、実際に農業従事者が使用することで操作性・有効性などを評価する。
LPWAを活用することにより、点在しているさくらんぼ圃場や罠の設置場所を遠隔から管理・監視することが可能となるため、栽培や見回り作業の効率化や省力化に貢献する。また、実証実験の中で動画を取り扱うケースにおいては、大量データの長距離伝送が可能な新しい無線LANの通信規格IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)(※)を活用した実証実験を実施し、課題解決の有効性を確認する。
※ IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow):920MHz帯の周波数を利用するWi-Fi規格で、LPWAと同様に低消費電力、長距離(1km)の通信が可能で、IoTでの活用に適したWi-Fi規格。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。