サラブレッドは、春に繁殖活動を行う季節繁殖動物だが、妊娠期間は330から360日とばらつきがあり、分娩予定日の通りに生まれるとは限らない。さらに、1頭あたりの単価が非常に高額な経済動物である側面もあり、分娩事故による経済的損失や繁殖生産者への精神的ダメージは大きな課題となっている。
そのため、繁殖生産者は、分娩シーズンになると分娩予定日の近い母馬を監視し、分娩が始まれば迅速に介助できるよう備える必要がある。さらに、サラブレッドの80%は、夜間に分娩が始まる為、分娩監視にかかる肉体的・精神的なストレスの負担がより大きいものとなっていた。
こうした中、ノーリツプレシジョン株式会社と北里大学獣医学部は、画像認識AIによるサラブレッドの分娩検知システム「馬もり」を共同開発し、2024年11月から発売する。
「馬もり」は、サーマルカメラを含む非接触のセンサにより母馬を24時間モニタリングし、分娩兆候として現れる特徴的な行動や体調の変化をAIが検出することで、繁殖生産者のスマートフォンへ通知するシステムだ。また、馬房内の明るさを変えることなく、リアルタイムにカメラの映像も確認することができる。
サールカメラを活用することで、母馬の体にセンサの取り付けや体内に侵しゅうする必要がないほか、真っ暗な馬房の中でも検知できるため、母馬の状況に合わせた照明の管理ができる。
なお、分娩当日の通知の状況につき、北里大学獣医学部との実証研究の実績は、95%と高い検知率が得られているのだという。通知は、行動量の増加等を検知したフェーズ1と、より娩出に近い状況であることを示すフェーズ2の2段階を備えている。
通信手法は内蔵されたSIMカードのため、日本国内の大手キャリアの携帯電話通信が使用できるエリアであれば、使用することができるとのことだ。
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