第3回AI・人工知能EXPOが4月3日〜5日東京ビッグサイト青海展示棟で開催された。チャットボット、自然言語テキスト解析、音声文字起こし、顔認証、AI OCRなど、AI導入を推進する企業が多数出展していた。
今回は、人手不足やベテラン人材の退職、という危機に直面する前に対策を投じようとしている企業を紹介したい。
遠隔協調で熟練技術者の動きを再現する「Successor」
これは、SOINNと川崎重工の共同プロジェクトで、コミュニケーターという遠隔装置を使って、遠隔操作でロボットを動かすことができるシステムだ。熟練者の衝突や摩擦といった微妙な感覚や判断も、遠隔操作によってロボットを同じように動かすことができる。
そしてこのSuccessorにはAIが搭載されているため、熟練者が何度も操作を繰り返すことでロボットは学習し、最終的には自動化することができる。さらに、熟練者の操作を学んだロボットから、新人の作業員が操作を学ぶことができる。
またSuccessorは、塗装、加工、搬送、組立など、作業用途に合わせた様々なロボットに使うことができるため、導入コストや時間の削減にも期待ができる。
SOINNの今後の展望としては、世界中の工場を一箇所から操縦・監視する、ということを目標に掲げているという。
専門家の作業を10分の1以下のスピードで行う
SOIINでは他にも、oyo corporationとの共同プロジェクトで、地盤モデルの生成、インフラ点検モデルを展示していた。
地盤モデルを作る際には、従来であれば専門家の知見を加味しながら手作業で作っていた。しかしそれでは効率が上がらず、ベテラン人材も退職してしまう問題を解決するため、自動で三次元の地盤モデルを作るソリューションを打ち出した。現段階のモデルでは、パソコン一台で数十キロ四方を1〜2時間で作成することができる。
これは液状化問題、地盤沈下などに対してのリスク回避に役立ち、不動産業や保険業などで活用されると考えられている。
インフラ点検モデルでは、地中レーダーを使い、道路の下の異常検出ができる。人の手で検査をすれば、ベテラン人材であっても一日10キロであったものが、このモデルを導入することで数百キロまで検査をすることが可能になったという。
職人や匠の判断基準・ルールを正しく理解する「タクミノメ」
これはAlbertが行なっている、従来の人の「目」による判断工程を、AI技術を活用した画像認識に置き換えることで、判断精度を向上させる取り組みだ。製造業の製品の検査や、壁面のひびの検出などで使われているという。
今後人手不足が深刻化していく中、まだベテラン人材が在籍しているうちに機械に落とし込む取り組みがなされている。
※ご指摘をいただき、一部変更致しました。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。