今日、船主および運航事業者は、世界およびEU規制当局による新たな低硫黄燃料規制(※)を遵守するために、海運事業者にとって最大の運営コストである燃料コストの顕著な上昇に直面している。海上輸送による温室効果ガスの排出量は膨大であり、さらに増加を続けている。
現行の世界の燃料備蓄を、2020年1月から硫黄含有量0.5%以下とする国際海事機関が要求する新条件を満たす燃料に置き換えた場合、市場予測によるとセクター全体で350億ドルのコスト増となるといわれている。
富士通株式会社と、海運や電力などの業界向けITサービスプロバイダーであるKongsberg Digitalは、温室効果ガス排出低減に向けてAIを活用した船舶燃料最適化(Vessel Fuel Optimization、以下、VFO)サービスの提供を開始した。
VFOサービスは、株式会社富士通研究所がAIおよびデータ分析技術に基づき開発した自動船舶識別装置(Automatic Identification System)のオープンデータを活用した航路最適化ウェブアプリのプロトタイプである。AIが船長による操船および船舶性能を学習し、これに風、波、海流といった気象および海象予報と組み合わせてエネルギー効率や、安全および収益性に適した航路を提案する。
また、船主および運航事業者による大規模な出費を伴う船上機器の設置が不要となる。これにより、海運事業者が大型船の燃料コストを削減し、新たな低硫黄燃料規制を遵守しつつ温室効果ガス排出を減らすことができるほか、幅広い船舶に対して利用可能なウェブアプリを提供できる。
今後、船舶のエンジンログおよびセンサーデータといった、航海データ記録装置からのデータを活用したサービスも提供する予定だという。
※ 船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度を0.5%以下とする国際的な規制強化を、2016年10月に開催された国際海事機関の海洋環境保護委員会で、2020年1月より開始すると決定した。これは、硫黄酸化物や粒子状物質による人の健康や環境への悪影響をより低減するために、世界で実施されるものである。
プレスリリース提供:富士通
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