以前、ファッションテック事例の3選を取り上げた。
[参考記事]ファッションテック事例3選 ~GUCCI、NIKE、sitateru
有名ブランドによるテクノロジー導入は進む一方で、テクノロジー側もファッション分野へ参入しようとする動きが出てきている。この背景には、廃棄布を減らす環境へ配慮した取り組みや、ファッション業界ならではの「返品」問題などがあるようだ。サステナブルな取り組みは、ここファッション業界にも求められている。
アメリカにおいては、店舗販売において返品率が8%であるのに対し、ECでの返品率は15〜30%と高く、その返品額は2015年から53%も増加している。この、返品された商品の処理にかかる高額なコストが業界の大きな課題となっているようだ。(参考:Liquidation startup B-Stock snags $65M investment)
また、日本国内においてもSDGsへの取り組みとして環境に配慮したパッケージや、紙ストローへの切り替えなどが話題となっている。
さて今回は、テクノロジー側からファッション分野への取り組みを紹介していきたい。
Microsoft
マイクロソフトは、ファッション業界において既に様々な取り組みを行っている。
ファッション×テクノロジーの未来を模索するプログラム「Designing a new future for fashion」をご存知だろうか。昨年から、London College of Fashionと約3ヶ月におよぶファッションテックプロジェクトがおこなわれたそうだ。
学生たちが各々、「ファッション業界における課題」を解決するため、マイクロソフトとともに課題解決にチャレンジするという内容になっており、その複数のプロジェクトのなかからビジネス価値が高いと評価を受けた5プログラム中2プログラムを今回は取り上げたい。
Brick&Pixel
Brick&Pixelは、Kinectセンサーで人の動き、服についたRFIDタグを読み取って、鏡替わりとなる OLEDスクリーンに「今着ている服の情報、ブランドの歴史」といった情報を提供するシステムだ。
Brick&Pixelは、ブランドのストーリー、世界観を伝えユーザーに満足度の高い体験をしてもらうことを目的として開発された。
Art-Z
Art-Zは、AIと機械学習を利用し、衣服の製作段階におけるデザイナーのパターン分析、および、既存のデザインから廃棄される残布の量を予測するシステムだ。
また予測データから、廃棄される残布をより少なくできるようなパターンデザインも提案することができるようだ。分析、予測にはMicrosoft Azureが使用されており、今後は廃棄布をゼロにすることを目指すとのこと。
Zeekit
Zeekitは、オンライン上でバーチャル試着ができるサービスだ。冒頭でも述べた通り、ファッション業界における返品問題はアメリカで問題となっており、この課題解決のためのソリューションとなる。
オンラインで商品を購入したものの、サイズが微妙にあわないといった経験はないだろうか。そういったサイズ違いをオンライン上で事前に確かめることができれば、返品することもなくなるだろう。
KITEKU
KITEKUは、無料で店内にある服を着て最大120分間外出できる日本国内のサービスだ。
購入前の商品でも着て外出することができる。インスタグラムに制限時間内にレンタルした服を着てアップし、「いいね」がつくと1いいねごとに1円の報酬を受け取ることができるというもの。
短時間のおでかけに、ファッションが好きな人がビジネスとしてこのサービスを使用することもできる。
またサイズ違いや、ちょっと雰囲気とあっていないといった理由で返品されることも減るだろう。始まったばかりのサービスではあるが、提供する店舗側としても貸し出すことによって、新商品のマーケティングが行えるというものだ。
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