国立大学法人東京大学、ソフトバンク株式会社、ソフトバンクグループ株式会社およびヤフー株式会社は、AI研究機関として「Beyond AI 研究推進機構」を設立し、共同研究を開始した。
同研究推進機構は、共同研究開始に当たり、AI自体の進化や他分野との融合などAIを追究する中長期の研究テーマ10件および研究リーダー10人を決定した。また、研究成果を基に10年間で10件の事業化と3件の新学術分野の創造を目指すなど具体的な数値目標を設定するとともに、ソフトバンクが組成する50人規模の事業化推進チームとの連携により、初期段階から事業化を見据えた研究活動を行う。
さらに、AIで共通利用される基盤技術に着目し、下記4つの領域で既存のAIを超える研究を目指して取り組む。
- デバイス領域(物理とAIの融合)
- インテリジェンス領域(脳科学とAIの融合)
- データ領域(AI自体の進化)
- サービス領域(AIと社会)
集積回路の物理的限界を突破し、微細化・高速化・省エネルギー化のブレイクスルーを図る。
特定課題のみに対応する従来のAIから、人間の脳のように複合的・想像的活動を実現するAIを目指す。
データクレンジング(※1)や教師データ作成などのコスト問題の解決に向けて、限られた教師データによるモデル構築など機械学習システム自体の変革を目指す。
AIなどのデジタル技術がもたらす倫理や差別などの社会課題を横断的に研究する。
東京大学の学内および海外の有力大学の研究者によるAI研究を行う中長期研究と、研究成果を基に事業化を目指すハイサイクル研究(※2)の2つの方向性で研究を行い、事業によって得た事業化益をさらなる研究活動や次世代AI人材育成のための教育活動に充てることでエコシステムの構築を目指す。3社から10年間で最大200億円を拠出して研究・事業活動を推進することで、新たな学術分野の開拓を目指す。
なお、今年度中にハイサイクル研究拠点を設置し研究を開始することを予定しており、中長期研究によって生まれた成果や知財を生かし、医療・ヘルスケアやスマートシティー、MaaSなどの分野において、CIP制度(※3)を活用した迅速な事業化に取り組むとした。
※1 データクレンジング:一定の基準やルールなどを定め、1項目ずつデータを調べて適切な状態に編集・統合・補正などしていく処理や作業。
※2 ハイサイクル研究:Beyond AI 研究推進機構において、中長期研究の成果を生かし事業化を目指す研究領域。CIP制度を活用して、迅速かつ双方に利益をもたらす取り組みを行う。
※3 CIP制度:経済産業省が制定した研究促進制度で、大学や企業などが共同で素早く研究開発組織を立ち上げ、研究成果を基に設立したジョイントベンチャーを株式会社として事業化できる制度。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。