アニメ制作には、30分ほどのアニメでも数千枚以上のセル画を描くことが必要で、そのセル画の着⾊には、⼀定のスキルを持った⼈間の⼿作業が求められている。
これまで多くのアニメ制作会社では、専⾨的なスキルを持った職⼈を⾃社で採⽤するか、セル画の⾊付けを専⾨的に扱う海外のアウトソーシング会社に依頼をすることが⼀般的だった。アニメ産業は我が国のクールジャパン戦略の⼀⾓を担う、⽇本のソフトパワーを強化する重要な産業だが、アニメ制作現場における専⾨⼈材の不⾜は⼤きな課題となっている。
東映アニメーション株式会社は、株式会社シナモン(以下、シナモンAI)と株式会社ギークピクチュアズの共同プロジェクト「アニメーション自動着色AI」に参画したことを発表した。
同プロジェクトは、⾊付け業務にAIを導⼊し、アニメ制作者の⽣産性を向上させることを⽬的としている。具体的には、セル画の前処理から着⾊までの以下のフローにおいてAI技術を活⽤することで、ピクセル値単位における着⾊精度96%という⽔準での着⾊ができ、セル画への⾊付け業務の時間を1/10に短縮、コストも50%以上の削減が可能になる。将来的には、ペイントツールとの連携インターフェイスも視野にシステムの構築を検討しているという。
- 前処理段階
- セグメーション
- 参照カラーを学習
- 着色
データを取り込んだ際に発生するノイズの除去・スケッチ内における欠落した線の補完。
画像認識によりキャラクターのパーツを判断し、着色箇所を抽出。
カット内のキャラクター等の参照カラーをAIが学習。
1カットにつき1枚の参照画像を色付けすると、同じカット内の残りのスケッチをAIが着色。
同プロジェクトの活⽤により、正確かつスピーディーな着⾊と処理枚数の増量が可能となることで、その分アニメ制作者が⾼付加価値業務に⽐重を置けるというDXを実現する。
今後、東映アニメーション作品での試験導入も予定しているとのことだ。
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