IDC Japan株式会社は、国内AIシステム市場予測を発表した。これによると、2020年の国内AIシステム市場は、市場規模(エンドユーザー支出額ベース)が1,579億8,400万円、前年比成長率は47.9%であることが判明した。
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるICT支出抑制など大きなマイナスの影響を受けることなく、ユーザー企業による企業変革の重要性の認識が高まりDXの取り組みが加速した。
そして、中長期計画に基づく継続的な投資によってAIの実運用を開始し効果を得始めている先駆的(リーダー)企業とCOVID-19によって企業変革の重要性を再認識しAIの投資を加速した後発的(フォロワー)企業が実証実験(POC:Proof of Concept)を盛んに行うなどの影響で、同市場ではユーザー企業のAIの取り組みレベルに応じて層別化/多様化が進んでいる。
このように多様なユーザー企業によるAIアプリケーションの利用が増加し、2020年のAIシステム市場は同市場の3分の1以上を占めるソフトウェア市場が前年比で45.2%増加したことが、同市場における成長の主な要因となっている。
さらにハードウェア市場はCOVID-19の研究/対策やAIの推論モデルを活用した非接触ソリューション開発を目的とする「富岳」などに代表されるスーパーコンピューターの需要の高まりとハイスペックサーバーの前倒し導入に起因し、同104.2%増となった。
またソフトウェア市場と同様にAIシステム市場の3分の1以上を占めるサービス市場においてビジネス変革支援、ITコンサルティング、アプリケーション開発/運用支援のニーズが高まり同24.8%増といずれも好調に推移した。
2021年の国内AIシステム市場における市場規模(エンドユーザー支出額ベース)は前年比34.1%増の2,119億1,600万円と予測している。
同市場は前述の通りCOVID-19のマイナスの影響を大きく受けておらず、COVID-19によってAIが新たに対策を講じる必要がある投資重点領域と企業に認識されたことで継続的に成長するとIDCは見ている。特にデータマネジメントや分析(アナリティクス)、従業員へのリスキリング(職業能力の再開発)を中心に積極的に投資が行われると予測している。
2022年はこれらの投資が企業の中期投資計画に組み込まれていることから前年比28.7%増とスピードは前年に比べると鈍化するものの、同市場は成長を続けるという。このことによって2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は25.5%で推移し、2025年には4,909億8,100万円になるとIDCでは予測している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの飯坂暢子氏は「成長期を迎えている市場ではAIを活用し企業価値を得ている先駆者とそうでない者、企業変革を再認識し取り組みを加速する後発者という形でユーザー企業の層別化が顕著になっている。ITサプライヤーはユーザー企業の共通課題であるデータマネジメントにフォーカスし、レベルに応じた柔軟な支援が求められる」と述べている。
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