近年、AIや機械学習への期待を背景に、ゲートウェイ内での高度なデータ処理を行うエッジコンピューティングが注目を浴び、より高い処理能力を求められている。AIの処理には、大量のデータを並列で高速に演算する必要がある。これにはCPUで処理するよりも、並列処理しやすいGPUやFPGAが向いているとされているが、コストアップの要因になることの他、発熱も多く設置環境を選ぶため、エッジコンピューティングの分野では幅広く普及に至っていないのが現状だ。
株式会社アットマークテクノは、エッジAI処理に対応したNPU(AI処理に特化した演算ユニット)搭載のIoTゲートウェイ「Armadillo-IoTゲートウェイ G4」を開発した。
同製品は最新のNXPセミコンダクターズ製アプリケーションプロセッサ「i.MX 8M Plus」を採用している。耐環境性(-20~+70℃)が高く、NPU搭載により高効率な演算を実現しながらも省電力を実現し、小型の筐体に納めることができた。NPUで演算支援できるAIフレームワークはTensorFlow Lite/ArmNNである。フルHDサイズ(1080p)のH.264エンコード/デコードの機能も用意されており、動画を記録しながらのAI処理も可能だ。
また、2つのGigabit Ethernetの他、USB3.0、HDMI2.0aのインターフェースによる画像の入出力が可能だ。筐体に入っていない状態(量産ボード)でも購入できる。量産ボードではMIPI-CSI カメラインターフェース、LVDS出力、GPIO/I2C/SPI等の組み込み機器で一般的なインターフェースも用意されており、装置に内蔵するIoTゲートウェイとしても利用可能だという。
さらに、同製品はIoT機器向けに開発された新OS「Armadillo Base OS」を搭載している。LinuxをベースとしたコンパクトなOSにコンテナアーキテクチャを採用し、標準でソフトウェアアップデートの機能が用意されている。IoT機器はPCやサーバー機器と比べても長く運用されることもあり、長期に渡って運用することを前提に開発されたOSとしている。
NPUを搭載したIoTゲートウェイが普及価格帯で提供されることにより、AIの活用シーンの拡大が期待できる。
なお、同製品のシリーズ第1弾として、LANモデル開発セット(AGX4500-C00D0)は49,500円(税込)で2021年11月末ごろの発売を予定している。今後はLTE/5G搭載モデルや接点入出力・RS485等のインターフェースを備えた各種モデルの発売が予定されている。
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