気候変動は、企業活動のリスクやチャンスにもなり得ることから、今やESGへの取り組みやTCFD提言に基づく情報開示は企業の持続可能性を評価する重要な指標の一つとなっており、企業ごとに気候変動の影響を想定した経営戦略の策定が求められる時代となっている。自然災害の激甚化の影響で事業継続が困難になるリスクがあるほか、原材料の調達コストの上昇により経営リスクが高まる。一方で、気温上昇や雨量増加によって特定商品の需要が拡大し、新たなビジネスチャンスが訪れる可能性がある。
株式会社ウェザーニューズは、気象データ提供・分析サービス「WxTech」において、企業の気候変動のリスク分析に有効な過去30年分の1kmメッシュの気候データの販売を開始した。
第一弾として、気象庁解析雨量を1988年から2021年まで1kmメッシュの解像度で再解析した「解析雨量データ」の提供を開始した。同サービスでは、1988年から2021年までの1時間ごと/1kmメッシュの解析雨量データをCSVで提供する。2022年以降のデータも随時追加するとのこと。
企業は、解析雨量のデータを用いて大雨によるリスクを評価・分析することで、雨量に基づいた具体的な対策をとることができる。例えば、企業の拠点における大雨の被害状況と当時の雨量を照らし合わせることで、施設や設備の維持管理の判断基準となる雨量やBCPの見直しなどの適応策をとることができる。
具体的には、災害発生の基準値を正確に把握することで、40mm/hの雨が降った場合に止水板を設置していたところを、30mm/hの雨で設置するように災害発生の基準値を改善することができる。また、30年の歴史における拠点周辺の最大雨量を把握したり、鬼怒川の堤防が決壊した「平成27年9月関東・東北豪雨」や「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」のような災害発生時の雨量を教訓にすることも可能だ。
さらに、30年分のデータをAIに学習させて需要予測を構築することで、雨の日に売れる/売れない商品の仕入れを調整して、販売チャンスの増加や廃棄ロスの削減につながる。
今後は、2100年までの雨風や気温などの将来予測の気候データを国内やグローバルで提供していく予定としている。
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