日本電気株式会社(以下、NEC)は、企業がマーケティング施策を立案する際などに必要な顧客の興味や関心などの特性(属性)を、AIを活用して推定する「消費者属性拡張」技術を開発した。
今回開発された技術は、様々な分野での消費者の一般的な行動傾向の知識を、Web上のオープンな文書データや他社データなどから学習する。
その上で、自社顧客の年齢、性別、居住地などの情報といった「デモグラフィック情報」や、趣味嗜好やライフタイルなどの情報である「サイコグラフィック情報」を、この行動傾向モデルに当てはめ、「顧客に似た人」の特性を観測することにより、顧客の多様な特性を推定する。
顧客に関する他社のデータが無い場合、あるいはプライバシー上の観点で他社の顧客データを顧客単位でデータ連携できないような場合でも、7割程度の精度で顧客の特性を推定することが可能だ。
NECは今後、「消費者属性拡張」技術について様々な分野での検証と技術改良を実施し、2022年度中の事業化を目指すとしている。
「消費者属性拡張」技術による顧客特性の推定方法
自己教師あり学習により消費者の行動傾向を学習
まず、「Aを買う人はBという観点を良く気にする」「Cが好きな人はDも好きなことが多い」など、様々な分野での消費者の行動傾向に関する情報を、Web上のオープンな文書データから学習する。
自己教師あり学習と呼ばれるアルゴリズムを活用することで、人間が教え込むことなくAIが勝手に学習を進めることができるため、膨大なWeb上の情報を基に消費者の行動傾向を幅広く学習することができる。
また、他社の顧客データや専門家の知識が利用可能な場合(※)は、追加の学習により、AIが学習した行動傾向の知識を補強することもできる。(※オプトインによって、事前に利用者からデータ利用の許可が得られている場合に限る。)
段階的な推論により顧客の特性を推定

次に、学習した行動傾向のモデルに自社顧客のデモグラフィック情報やサイコグラフィック情報を当てはめ、「顧客1はAを買った」という自社のデータから、「Aを買ったのだからBという観点を気にするはずだ」「Bという観点を持つのだからCも好きなはずだ」というように、「顧客に似た人」の行動傾向を基に、段階的に顧客の特性を推論する。
また、推定した特性がマーケティング施策上の次のステップ、例えば広告クリック率の向上に寄与するかどうかなどを判断することで、推論を適切なタイミングで打ち切ることや、推論過程で得られた特性の取捨選別をおこなうことも可能だ。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。