社会全体のデジタル化やAI技術の発展に伴い、効率的な生活が実現されている一方で、個人や社会の多様性が損なわれる可能性も指摘され始めている。
こうしたなか、日本電信電話株式会社(以下、NTT)が取り組む、IOWN構想の柱の1つであるデジタルツインコンピューティング(以下、DTC)構想では、誰もが他者を尊重しあえる豊かで持続可能な共生社会の実現をめざして、以下の4つのグランドチャレンジに取り組んでいる。
- 気持ちそのものを伝えるコミュニケーション技術(感性コミュケーション)
- 人と共に成長・共存する分身技術(Another Me)
- 未来社会の姿を探索する技術
- 地球と社会・経済システムの包摂的な平衡解を導出する技術
この4つのチャレンジのうち、感性コミュニケーション・Another Meでは、多様な個性を持つ人が繋がり、社会の中で新たな機会を創出するための技術の研究開発に取り組んでいる。これまでに、相手の感性に合わせて情報提示方法を変えたり、人のデジタルツインが自律的に行動したりするための技術開発に取り組むとともに、人のデジタルツインが実現した際に訪れる未来を描き出す取り組みも行ってきた。
感性コミュニケーション(左)とAnother Me(右)
このほど、取り組みの第一歩として、コミュニケーションを通じて相互に理解し合い、他者や社会との繋がり作りを支援するための技術を開発し、株式会社NTTドコモが技術提供するバーチャル空間構築技術に試験実装した。
具体的には、人の深い理解を可能にする技術として、個人の持つ感性や価値観まで推定する「脳内表象可知覚化技術」「個人性抽出技術」を開発した。また、自分のAnother Meが自律的に社会活動を行うための技術として、本人のように話すことができる「個人性再現対話技術」を開発した。
脳内表象可知覚化技術は、心の中の捉え方や感じ方を直接的に理解するための新しいコミュニケーション手段の1つとして、心の動きを生み出す脳に着目し、脳内の反応と内面状態の関係をモデル化し図形等を用いて可知覚化する技術である。従来の言語・非言語コミュニケーションでは伝達しきれない感情や認知の微細な変化を含む感性状態を「脳の表情」と捉え、読み取り、知覚可能にし、提示する。この技術により、ユーザ自身や他者の捉え方・感じ方の理解を促進し、コミュニケーションの量・質を高める。
脳内表象可知覚化技術
個人性抽出技術は、個人の行動ログから、行動に影響を与える性格・価値観・趣味などの情報を埋め込んだベクトルを学習する技術である。これにより、本人の価値観にあった行動をAnother Meが再現できるようになる。たとえば価値観の類似度を比較して、価値観の近い人同士を見つけたり、多様な価値観を持つグループを作ったりすることができる。
個人性抽出技術
個人性再現対話技術は、発言内容に一貫したキャラクタ性を持たせることを可能とする技術で、指定したプロフィールや趣味などに応じた発言が可能な対話AIを実現する。本人の特性に基づき自律的に行動する人のデジタルツインを実現するための要素技術になる。
個人性再現対話技術
NTTは今後、パートナー企業との連携などを通して、人との繋がり創出効果に関してフィールド実験をMetaMe上で行っていく予定だ。さらに、脳波の正確な計測技術の研究や、再現可能な個性の拡充に向けた研究も進めるとしている。
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