NEC、多数のカメラ映像を分析する「アプリケーションアウェアICT制御技術」を開発

日本電気株式会社（以下、NEC）は、作業現場などに設置された多数のカメラ映像を分析する「アプリケーションアウェアICT制御技術」を開発した。

これまで、エッジデバイスを活用して作業進捗状況や不安全行動などを把握する際、現場の状況の変化により映像分析AIの処理量が増大すると、小型のエッジデバイスでは処理能力が不足する課題があった。

また、クラウドに処理を割り振る場合、大容量の映像データを無線送信する必要があるため、カメラ数の増加時や電波状態の悪化時に、通信帯域が不足するという課題もあった。

そこで「アプリケーションアウェアICT制御技術」技術では、大量の映像データの中から分析すべき重要な領域を自動的に抽出する「重要領域予測技術」と、抽出した映像内の領域の重要度やネットワークおよびコンピューティングの負荷状況に応じて作業現場の端末（エッジデバイス）とクラウドに分析処理を動的に振り分ける「ダイナミック負荷分散技術」という2種類のAIを活用している。

「重要領域予測技術」は、カメラ映像に映った人やモノから、映像分析AIで処理すべき領域（重要領域）を自動で抽出する。

映像内の人やモノ、地面などの背景、それらの境界といった領域単位で映像分析精度への影響を学習することで、処理すべき領域単位で重要度を予測する。

この学習は、映像分析AIに入力する映像を変化させた場合の分析結果の変化のみに基づいており、行動認識や物体検出といった映像分析AIの種類、内部処理方法には依存しないため、多様な映像分析AIに対して適用可能だ。

「ダイナミック負荷分散技術」は、映像内の領域ごとの重要度や処理・通信負荷に応じて、処理をエッジデバイスとクラウドに動的に割り振る。

具体的には、エッジデバイスの処理負荷やクラウドに処理を転送する際の通信負荷のリアルタイムな予測を行い、重要領域予測技術で判断された重要度の情報と組み合わせることで、処理能力および通信帯域を超えないように映像領域単位で処理を割り振る。

この2つのコア技術を活用することで、映像内の分析すべき領域のみを抽出し、その重要度や負荷に応じて処理をエッジデバイスとクラウドに動的に割り振ることで、処理能力や通信帯域が限られた環境での映像分析を可能にする。

NECは今後、「アプリアウェアICT制御技術」を活用して物流倉庫や建設現場などでの実証を行い、2023年度中の実用化を目指すとしている。

IoTNEWS編集部

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