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パナソニックHD、AIモデル学習のデータ構築コストを削減する技術を開発

高性能なAIモデルを実現するには、データ収集とアノテーションにより大量の学習データを用意する必要がある。また、一度開発したAIモデルを、撮影機材や時刻・天候等の条件が異なる現場や環境に適用する場合、その都度学習データの撮影・取得とアノテーション(画像内の人、自動車などのラベル付け)を実施しなければならない。

そのため、開発したAIを環境の異なる多様な現場に展開するには、データ構築に要する時間とコストが大きいという課題がある。

そうした中、パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は、AIによる物体検出の精度低下を抑えながら、学習データ構築コストを削減できる技術を開発した。

今回開発された技術は「少数のラベル付きデータに対するドメイン適応技術(Few-shot Domain Adaptation)」を応用させたもので、環境が大きく異なる現場に対しても、従来法と比較して少ない学習データでAIモデルの他現場展開を実現する。

通常の「少数のラベル付きデータに対するドメイン適応技術」は、予め公開されている多数のラベル付きデータ(ソースドメインのデータ)で学習したAIモデルの事前知識を、少数の現場データ(ターゲットドメインのデータ)の学習に利用することで、現場データが少数でもAIモデルを学習できる技術だ。

しかし、従来の方法では、例えば、ソースドメインがRGB画像で、ターゲットドメインが遠赤外線画像のように、データの「見え」が大きく異なる場合、ソースドメインとターゲットドメインの知識差(ドメインギャップ)を埋めることができず、高い性能が得られないという課題があった。

そこで、今回開発された技術には、複数の画像を合成するデータ拡張方法の考え方を応用した新たな手法を適用。この手法では、単純に画像を置き換えるだけではなく、画像に写る物体(自動車や人など)の領域情報を利用して、同じ種類の物体同士を置き換えることで、画像中の物体位置や存在確率なども考慮している(トップ画(a))。

また、敵対的学習により、AIモデルが両ドメイン共通の特徴で画像を認識できるようになっている。

敵対的学習とは、各画素のドメインの識別を行い、わざとドメインの識別を失敗するようにAIモデルを更新する学習方法だ。

AIモデルは、ソースドメインとターゲットドメインの区別が出来なくなるため、両ドメイン共通の特徴で画像を認識するようになる。(トップ画(b))。

これらにより、従来法では対応が困難な、ソースドメインとターゲットドメインの見えが大きく異なる場合にも適用可能な、少数のラベル付きデータに対するドメイン適応技術が実現している。

パナソニックHD、AIモデル学習のデータ構築コストを削減する技術を開発
学習データを1/16(上段)、1/64(下段)まで削減した場合の遠赤外線画像での従来法((a),(b))、提案法(c)、正解(d)の検出結果例(発表論文[1]より抜粋)

なお、この技術を活用して、RGB画像をソースドメイン、遠赤外線画像をターゲットドメインとした物体検出における実証実験を進め、有効性が確認されている。

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