株式会社FRONTEOは、同社が開発したAIレビューツール「KIBIT Automator(キビットオートメーター)」に、人間が色合いを認知する際の直感的判断能力から着想を得た、新アルゴリズムを実装したことを発表した。
「KIBIT Automator」は、米国民事訴訟の公判手続きで必要となる証拠開示(ディスカバリ)の中で、電子証拠開示(eディスカバリ)における文書レビューを支援するAIツールだ。
「KIBIT Automator」には、これまで、文書内のワードの証拠への関連性を「重み」(ワードの証拠に関連する度合い)として算出する機能を持つアルゴリズムと、証拠に関連する文書の発見精度が相対的に高く、発見精度をレビュー前に正確に予測する機能を持つアルゴリズムの、2種類のアルゴリズムが搭載されていた。
そして今回、新たに人間の直観的判断に近い判定を行えるアルゴリズムが実装された。
人間には、文書をレビューする際に、証拠への関連性の有無を判断する能力がある。
FRONTEOは、この能力が、検知したいものだけを素早く無意識に認識する視覚直感性の「カラーバス効果」などに類似していることにインスピレーションを受けた。
そこから、「人間は文書中の単語を色彩、文書全体のニュアンス(ワード出現の多寡や組み合わせ)を色合いのように捉えている」という認知モデルを着想し、そうした人間の直観的判断に近い判定を行えるアルゴリズムとして開発された。
新アルゴリズムの搭載により、「KIBIT Automator」は、ワードの重みの評価として、これまでの「正」に加え、「負」の関連度合いも示すことができるようになった。
さらに、文書全体のスコア(証拠への関連度合い)だけでなく、文書内のスコア分布を算出し、高スコア領域を同定・ハイライトする機能が搭載された。
これらの機能は、一般に特定が難しいとされるAIの判断理由について、AIがなぜその文書を高スコアと判断したかの説明性を高めることに寄与する。
また、すでに新アルゴリズムを搭載している平時監査ツール「KIBIT Eye(キビットアイ)」を用いた自社検証では、監査対象となるデータの抽出割合(発見精度)を、閲覧率20%時で比較した際、従来のシステムでは82.5%だったのに対し、「KIBIT Eye」では99.5%と、解析精度が向上したことが確認されている。
なお、新アルゴリズムは今後、FRONTEOの様々な製品に展開させていくとしている。
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