OpenAIがリリースした大規模言語モデル「ChatGPT」。人に質問するように書いた文章「プロンプト」に対して、自然な言葉で答えを書いてくれるAIだ。
万能のAIのように捉えられていることも多く、使いこなせないとダメという論調もあるが、実際どのくらい使えるものなのだろうか。
IoTNEWSでは、ChatGPT特集を立ち上げ、実際のところどれくらい使えるのか?本当に使いこなせないとダメなのか?今後の発展性はどうなるのか?といった観点で、具体的にChatGPTを研究していく。
今回のテーマ
第一回は、「ChatGPTを企画やアイデア出しに使う」というテーマについて。
登場した当初より言われている有効な使い方だが、実際どれくらい使えるのか調査してみた。
まず、ChatGPTは、送信した内容の文脈を捉えて回答しているため、同じような内容の文章でも、「どう質問するか」で回答が変わってくる。
そこで、企画やアイディア出しにChatGPTを活用すると想定し、実際に筆者が使ってみたプロンプトを紹介する。
内容を「深化」させるアプローチ
まず、本記事を読んでいるみなさんは、「健康食品の販売促進プランを考える担当者」だと仮定した。
これから、販促プランを立てなければならず、いつもであれば、社内メンバーとブレストしたり、トレンド調査をしたりして販促プランを立てていたが、有用な販促プランをChatGPTに教えてもらえるのではないかと考えている。
そこでまずは、ChatGPTに「健康食品における販売促進のプランを考えてください。」というシンプルな質問を書いてみた。
そうすると、「トークイベント」や「サンプル提供」など、一般的な販売促進の例が挙げられた。
前述したとおり、ChatGPTはこちらが送信した内容の文脈を捉えて「それらしく」回答しているため、シンプルで具体的ではない内容に対しては、同じくシンプルで具体的ではない内容が返ってくることがほとんどだ。
これでは、使えない。
ターゲットの明確化
そこで、「50代〜70代の、体力の衰えを感じて始めた人」と、ターゲットを明記してもう一度質問をすると、「高齢者向けのイベント」や「読みやすいデザインへの変更」など、ターゲット層に合わせた回答が得られた。
ターゲット層の年齢だけでなく、趣味嗜好などのペルソナが決まっている場合、さらに詳しい情報を明記すると、ターゲットに合わせた回答をしてくれそうだ。
目的の明記
さらに、プロンプトに対し、「何のために販売促進を行うのか」という「目的」を明記してみた。今回は特に、「新規顧客を獲得して収益を伸ばす」とした。
そうすると、「紹介制度の導入」や「SNSでの体験談共有」など、新規顧客向けのアプローチ内容が出力された。
さらに、「3ヶ月間で10%の売上増加」「新規購入者を500人獲得する」など、具体的な目標を明記すると、目的に合わせた販促プランを提示してくれた。
出力内容に制限をかける
「ターゲット」や「目的」を明記することで、徐々に具体的な販促プランになってきたが、まだ、比較的誰でも思いつきそうな回答だと感じたので、「一般的ではないが、人気が出るような具体的なアイデア」を教えて欲しいと付け加えた。
さらに、回答を見やすくするため、「結果のみの出力」「表形式で」という文章も追加した。
この結果、表形式で「体験型健康セミナー」や「カフェイベント」など、面白いアイディアを出してくれた。
ちなみに、結果の出力方式に関しては、「マークダウン形式」「テーブル形式」「マトリクス形式」など、さまざまな形式に対応してくれる。
「マークダウン形式」は、見出しや箇条書きなどの記述ルールに従って、文書を書くことで、文書の構造をわかりやすくする書き方だ。
「テーブル形式」は、データ構造を作る時の形式で、「マトリクス形式」は、良い、普通、悪いなど、同じ回答を複数の設問で行う時などに利用する方式だ。
話がそれたが、このように、ChatGPTは会話形式で質問や指示を行うことができるため、シンプルな質問から始め、そこから自分が気になる箇所や必要だと感じる箇所について深ぼって聞いていくことができる。
今回、ChatGPTと会話をしているうちに、必要な情報や求めているアイディアが浮かんでくるため、自分自身の思考の整理に活用することができると感じた。
まとめて指示するプロンプト例
内容を深ぼるアプローチで思考がまとまったので、改めてまとめた内容をプロンプトにしてみた。
まず、ChatGPTの役割を書いた(①)。役割を書くことで、ChatGPTは販促担当者として指示に答えてくれる。
そして、目的(②)を明記し、どれくらいのボリュームで書いてほしいのかを指示する。(③)
ここでは「10個」としているが、⑤のような文字数や、「結果のみ」「簡潔に」などの文章でも、ボリュームを調整することができる。
④の「#」は、「販促プランを考えてほしい」という指示の文と別の文章であることを示すことができる。
条件や出力方式の他にも、「前提」「例」など、指示の補足情報として文章を付け加えたいときに有効だ。
また、「#」ではなく「””」を活用しても同様の機能を果たしてくれる。
このプロンプトでも、徐々に内容を深化させるアプローチと同じような回答を得ることができた。
アイディアをブラッシュアップする
さらに、ChatGPTが出した回答に対して、ChatGPT自身に評価させて改善をさせるというプロンプトを書いてみた。
ChatGPT自身に評価させることで、回答が完全ではない前提が生まれ、さらなる改善案を提示してくれる。
さらに、性別と年齢別に架空のターゲットを設定し、一般的な評価をしてもらうことで、さらにアイディアをブラッシュアップさせた。
まず、架空の6名に10段階で販促プランを評価してもらう。
そして、6人がこの評価にいたった内容のフィードバックを得るというものだ。
もちろんこれらは仮の評価ではあるが、アイディアを練っているときの参考にするのには役立つと感じた。
工夫次第で様々な回答を得られる
ChatGPTは「質問に答えてくれる」という一見シンプルな仕様だが、用途に応じてプロンプトの記述内容(質問の仕方)を工夫することで、様々な回答を得ることができる。
企画やアイディア出しの際には、思考の整理や、様々な角度からの視点をChatGPTから得ることで、社内で議論を深める前の業務を効率化したり、新しい発想を得る手掛かりになると感じた。
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