生活環境中には様々な微生物が存在しており、これら微生物が意図せず製品に混入した際に、製品の腐敗を防ぐ効果を防腐効果と言う。
ハミガキおよび洗口液の処方開発においては、適切な防腐効果を持たせる必要があり、サンスターグループ(以下、サンスター)はその効果を確認するために、防腐効力試験を実施している。
この試験では、細菌や真菌といった微生物を製品へ添加し、定期的に菌数を計測するが、これには微生物に関する専門的な技術や経験が必要とされ、試験期間も約1カ月必要となる。
こうした中、サンスターは、ハミガキおよび洗口液の処方情報を基に、製品の防腐効果を予測するモデルを開発した。
今回の予測モデルの作成には、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社のAI予測分析ツール「Prediction One」を活用している。
予測モデル作成のための学習データには、これまでサンスターで蓄積した大量のハミガキおよび洗口液の処方情報、それに紐づく防腐効力試験結果を用意し、ハミガキおよび洗口液それぞれについて、細菌類と真菌類に対する防腐効果を予測するモデルを開発した。
モデルの予測精度の検証を行ったところ、ハミガキでは予測判定の正解率が細菌類で91%、真菌類で92%、洗口液では正解率が細菌類で80%、真菌類で91%となった。
また、モデルの有用性を検証するため、学習に使用していない試作品(ハミガキおよび洗口液、計8検体)について、防腐効果を予測させたところ、全ての試作品で実際の防腐効力試験の結果と予測した結果が一致したのだという。
今回開発されたモデルを用いることで、従来、試験を行って判定していた製品の防腐効果を、AIによって予測することが可能になる。
なお、この研究成果は、2023年8月29日~8月30日に開催された「日本防菌防黴学会 第50回年次大会」にて発表されている。
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