IBMは本日、AIおよびデータのプラットフォームである「watsonx」に、新たな生成AI基盤モデルを追加することや、機能強化を図る計画を発表した。
機能強化には、watsonx.governanceの技術プレビューの開始、watsonx.dataにおける新しい生成AIデータ・サービス、および一部のソフトウェアおよびインフラストラクチャー製品にwatsonx.aiの基盤モデルを統合する計画が含まれている。
まずは今月末に、Graniteシリーズ・モデルを追加する計画だ。
Graniteモデルは、大規模言語モデル(LLM)の能力を支える「デコーダー」アーキテクチャーを使用しており、要約、コンテンツ生成、洞察抽出といった企業向けの自然言語処理タスクを行う。
IBMは、データ・ソースに関するリスト、およびGraniteシリーズ・モデルの学習データを作成するために実行されたデータ処理およびフィルタリング手順に関する説明を提供する計画だ(2023年第3四半期に提供開始予定)。
サード・パーティー・モデルとしては、Metaの「Llama 2-chat」(700億パラメータ・モデル)と、コード生成用の大規模言語モデル「StarCoder」をIBM Cloud上のwatsonx.aiで提供を開始している。
また、watsonxプラットフォーム全体における新機能の提供開始に向けた計画について発表されている。
watsonx.aiにおいては、「Tuning Studio」の最初のバージョンをリリースする予定だ。これには、顧客が所有する企業データを使用して、基盤モデルを顧客独自の下流タスクに適応することができるプロンプト・チューニングが含まれている(2023年第3四半期に提供開始予定)。
加えて、カスタム・データ・スキーマまたは内部データ・セットから、ユーザーが人工的な表形式データ・セットを作成できるよう支援する「合成データ・ジェネレータ」を提供開始した。
また、watsonx.aiのイノベーションを、ハイブリッドクラウド・ソフトウェアやインフラストラクチャー製品に組み込む予定だ。
watsonx.dataにおいては、watsonx.aiの生成AI機能を組み込み、会話型の自然言語インターフェースによるセルフサービス体験を通じて、ユーザーがAI用のデータを発見、拡張、視覚化、調整できるようにする予定だ。(2023年第4四半期に技術プレビュー予定)
さらに、ベクトル・データベース機能をwatsonx.dataに統合し、watsonx.aiのRAG(検索により強化した文章生成)ユースケースをサポートする予定だ。(2023年第4四半期に技術プレビュー予定)
watsonx.governanceにおいては、技術プレビューを開始する。技術プレビューを利用する顧客は、基盤モデルの詳細についての自動収集や文書化が可能になるほか、モデル・リスク・ガバナンス機能を利用することが可能になる。
この機能を利用することで、企業におけるAIの利害関係者は、企業全体のAIワークフローのダッシュボード上で、AIの運用状況を承認状況とあわせて視覚的に確認できるようになり、適切なタイミングでの人間の関与が可能になるとしている。
なお、開発者は、2023年9月11日から14日にかけて米国ラスベガスで開催されるIBMの技術学習プレミア・イベント「TechXchange」にて、これらの新機能や新モデルを体験することが可能だ。
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