IDC Japan株式会社は、最新のAIシステム市場における産業分野別/ユースケース別の予測を発表した。
IDCでは、AI機能を提供するソフトウェア/プラットフォーム、AIワークロードを実行するハードウェア、およびAIシステム構築に関わるITサービスに関して、産業分野別およびユースケース別にAIがどのように利用されるかについて分析し、5年間の支出額予測を「IDC Worldwide Artificial Intelligence Spending Guide」として提供している。
2023年8月に発行した同製品では、19の産業分野における42のAIユースケース(利用方法)について分析し、AIシステム市場のグローバル支出額市場規模は2023年に前年比29.3%増の1,665億米ドルに達すると予測している。また、国内では前年比31.4%増の6,837億円に達すると予測している。
2023年上半期の国内AIシステム市場は、ビジネスバイヤー/消費者のデジタルシフトが進む中、2022年後半から活発になった生成AIのビジネス活用への期待感の拡大や、製品/サービス提供ベンダーから生成AIを含むAI機能の組み込みがアプリケーションソフトウェア/プラットフォーム/サービスで進展したこと、AI機能の適用がデータ分析、リスク管理、顧客サービスへの適用に加えて生成AIの企業内利用の実証など、AI実装がさまざまな分野で拡大した。
2023年8月発行の同製品では、生成AIユースケース市場について予測している。生成AIは2022年後半から大規模言語モデルを利用したサービスがITサプライヤーから相次いで発表され、国内AIシステム市場の活性化要因の一つとなっている。このため、IDCでは生成AIのユースケースをオーディオ/イメージ/テキスト/ビデオの4種類に分類して支出額市場規模を予測した。
この結果、国内AIシステム市場における生成AIユースケース市場は、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)194.7%で成長し、2027年の市場規模は786億9,400万円になると予測している。生成AIは要約、検索、翻訳など一般オフィスでの利用ばかりではなく、アプリケーションの自然言語UI、エンターテインメントや顧客エクスペリエンス分野での音声/広告生成、教育分野での教材生成など、多岐に渡る利用方法が想定される。
一方で利用コスト、正確性、セキュリティ、生成物の権利/倫理などの課題も存在している。信頼可能なツール/プラットフォームを選択し、市場要請に対してユーザー企業が適切な適用ポリシーを遵守することで同市場は急速に拡大するとIDCではみている。
IDC Japan Software/Service Solutionsのグループディレクターである眞鍋 敬氏は「AIシステム市場に対する生成AIのインパクトは支出額ベースでは大きくないように見えるが、アプリケーションやプラットフォームへの組み込みが進む現在、ビジネスプロセスに対する重要性は拡大すると予測する」と述べた。
続けて「生成AIは企業がセキュリティ、ガバナンス、倫理について検証を進め、ビジネス適用のためのポリシーを制定したうえで適切なユースケースを開拓することで、労働生産性や顧客サービスの向上などに不可欠なツールに発展するだろう」と述べている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。