ルネサス、処理性能最大16倍のAIアクセラレータと組み込みプロセッサ技術を開発

組み込み機器においては、発熱に対する制約が厳しく、AIチップの低消費電力化が必要とされている。

そこでルネサスエレクトロニクス株式会社は、ビジョンAIを実現するMPU(Micro Processor Unit)を、高速化・低消費電力化する組み込みプロセッサ技術を開発した。

この技術は、軽量化したAIモデルを効率良く処理できるAIアクセラレータと、CPUなど各種IPを協調して動作させ、リアルタイム処理を可能にするヘテロジニアスアーキテクチャ技術が含まれている。

具体的には、独自のDRPベースのAIアクセラレータ(DRP-AI)を枝刈り処理に最適化した。

そして、代表的な画像認識向けAIモデル(CNNモデル)における枝刈りパターンの特徴や枝刈り方式と認識精度との関係を分析した上で、高い認識精度と枝刈り率を両立可能なAIアクセラレータのハードウェア構造を特定し、DRP-AIの設計に反映させた。

さらに、このDRP-AI向けに最適化したAIモデルを軽量化するソフトウェアを開発した。

同ソフトウェアで不規則な枝刈りモデルの構成を並列演算処理に変換することにより、AI処理の高速化が可能になった。

特に、AIモデル内の局所的な枝刈り率の変化に応じて、サイクル数を動的に切り替えることが可能な柔軟性の高い枝刈り対応技術(フレキシブルN:M枝刈り技術)により、ユーザが必要とする消費電力や動作速度、認識精度に応じて枝刈り率を細かく調整することが可能となった。

これらの技術を試作した組み込みAI-MPUの処理性能(130TOPS)は、新技術導入前の最大16倍に、電力効率は最大23.9 TOPS/W(0.8V動作時)に達した。

また、ロボット制御に向けてリアルタイム処理を可能にするヘテロジニアスアーキテクチャ技術により、消費電力を12分の1程度に削減し、組み込みCPU単独動作に比べて約17倍の高速動作を実現した。

さらにルネサスは、同技術を搭載したテストチップを試作し、通常の電源電圧(0.8V)におけるAIアクセラレータの最大電力効率が1ワットあたり23.9TOPSを達成したとしている。また、ファンやヒートシンクなしでAI処理を行うことが可能であることを示した。

これらの技術は、ビジョンAIアプリケーション用MPU「RZ/Vシリーズ」に適用する予定だ。

なお、この技術の成果は、「国際固体素子回路会議 ISSCC 2024」で発表された。

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