株式会社日本線路技術と株式会社Laboro.AIは、線路設備の機能不全や異常を自動判定する「線路設備不良判定AI」を開発した。なお、この「線路設備不良判定AI」は2023年11月より実運用し、現在も運用を継続している。
通常、線路の保全管理は、「検査実施」「不良判定」「修繕計画作成」「修繕実施」というサイクルで行われている。新たに開発された「線路設備不良判定AI」は、このサイクルの不良判定を自動化することを目指すものだ。物体検出技術と異常検知技術を組み合わせることで、不良判定を実現している。
運用としては、まず画像から明らかにわかる不良をAIでスクリーニング判定し、そこから除外される判断の難しいケースのみを人が目視で最終判定する。これにより、全画像を目視によって判定していた従来と比べ、1ヶ月あたり100時間の工数削減が見込まれている。
また、線路設備は、類似の部材が多く、部材ごとに複数の不良パターンがあることから、高難易度の異常検知を実現する必要がある。
そこで「線路設備不良判定AI」では、十数種類の部材の不良を判定することを可能にし、一部の部材においては8割以上のスクリーニング効果が得られているのだという。
こうした高度なAIの開発を実現するため、過去に収集されたデータの量・質の状況や判定基準などに応じて、教師あり学習・教師なし学習といった学習手法や様々なAIモデルから適した技術を調査・選択することで、それぞれのケースでの判定を実現している。
今後日本線路技術とLaboro.AIは、開発面だけでなく体制面での協働も推進する予定であるほか、不良判定に留まらず、線路保全管理におけるその他の高負荷業務へのAI技術の応用検討も進めていくとしている。
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