画像診断支援AI技術の開発には、高性能なサーバと開発環境が必要であり、学習モデルの設計や開発プロセスの実行にプログラミングなどの高度な工学的知識が必要だ。また、AIに学習させるデータの加工(以下、アノテーション)の作業に多くの工数がかかる。
特にアノテーションの作業は、症例1件当たり数分~1時間程度の時間がかかり、数百から数千件のデータに対して行わなければならないため、AI技術開発の工程で大きな負担となっていた。
こうした中、富士フイルム株式会社は、医療機関や研究機関が画像診断支援AI技術の開発を助ける新サービス「SYNAPSE Creative Space」を、2024年4月12日から提供開始すると発表した。
「SYNAPSE Creative Space」は、画像診断支援AI技術開発の一連の開発プロセスを、クラウド上で行えるサービスだ。
また、富士フイルムと国立がん研究センターが医用画像向けに開発した複数の学習モデルを使用でき、医師や研究者が自身で学習モデルを一から設計することなく、AI技術の開発が可能だ。
さらに、アノテーションツールは、臨床現場で使用されている富士フイルムのAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」と同様の画面デザインとし、画像診断環境に近い操作感で画像の参照やアノテーションを行うことができる。(トップ画参照)
また、プロジェクト管理するためのダッシュボード画面では、アノテーションの進捗やAIの学習状況を把握できる。
なお「SYNAPSE Creative Space」は、2022年4月より全国40施設以上の医療機関・研究機関で実施したトライアルの中で意見を反映し、アノテーションサポート機能を拡充し、使いやすく進化させている。医療従事者や医学生のハンズオン教育の教材としても利用可能だ。
すでに富士フイルムは、国立がん研究センター、公立大学法人名古屋市立大学それぞれと「SYNAPSE Creative Space」を用いた共同研究を行い、2つのAI技術を開発したのだという。
また、AIリテラシーを向上させるための教育ツールとして、医学部、大学院、医療系専門学校など6施設へ「SYNAPSE Creative Space」を試験導入し、300名以上の医療系学生のAI教育を支援したとしている。
今後富士フイルムは、4月12日から14日まで開催される「2024国際医用画像総合展(ITEM2024)」にて、「SYNAPSE Creative Space」を出展する予定だ。
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