富士通株式会社は、テキストや画像、数値などの複数の異なる形式のデータを、知識を抽象化して体系化するナレッジグラフとして、AIを用いて自動的に統合し学習することで、その大規模データから高精度に原因や内容を判定、推定する説明可能なAI技術を開発した。
富士通は、異なる分野や形式のデータを扱うマルチモーダル技術について研究開発を進めており、今回、複数の異なるデータ形式や対象物の描かれ方が全く異なる画像データを統合して学習し、多様な観点から統合的に判断する2つのAI技術を開発した。
1つ目の技術は、対象物の描かれ方が全く異なる画像データを統合して学習するAI技術だ。絵画、線描画、イラスト、写真など、対象物の描かれ方が異なる画像のデータを統合して学習させることで、新しい入力画像データに対して適切な判断ができるようになった。
2つ目の技術は、異なる形式のデータを統合し、共通のナレッジグラフへ変換して学習する説明可能なAI技術だ。この技術を使用すると、テキストや画像などの異なるデータ形式を形式に依存しない共通的なナレッジグラフに変換し、それらをAIにより自動的に統合して大規模統合ナレッジグラフを作成する。それを用いて、説明可能な形で判断を支援できるようになる。
これらの技術を肺がんのタイプ分けと乳がん患者の生存予測判定に適用したところ、従来技術を越える精度を達成することができたのだという。
この技術は今後、対象物の描かれ方が全く異なる画像データを統合して学習するAI技術と合わせて、十分な学習データを準備できない病理画像の判定においても、ゲノム情報まで組み合わせた判断支援を行えるようになることが期待されている。
なお富士通は、2023年に個別化医療の領域でスペインの研究機関であるBarcelona Supercomputing Center(以下、バルセロナスーパーコンピューティングセンター)との共同研究を開始している。
今回のマルチモーダル技術を活用して開発したAI技術を、バルセロナスーパーコンピューティングセンターとの共同研究に活かし、発展させていく計画だ。
今後は、これらの開発したマルチモーダル技術を、医療分野だけではなく、様々な領域で適用できる汎用的な技術として開発を進め、2024年度中に「Fujitsu Research Portal」で公開する予定だ。
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