株式会社センシンロボティクスと中部電力パワーグリッド株式会社は、共同で送電設備異常を自動で検出するAIを開発してきた。
これは、手元のモバイルデバイスに伝送されるドローンのライブストリーム映像をもとに、「電線」の素線切れ・溶損や、「がいし」の破損・欠けといった異常をリアルタイムに検出するAIで、2023年度からすでに現場運用を開始している。
そして今回、新たに、リアルタイム異常検出における対象範囲の拡大および鉄塔ボルト脱落・錆検出に関するAIを開発し、2024年8月6日より中部電力パワーグリッドが保有する送電設備の点検での導入を決定したと発表した。
今回新たに開発されたAIは、電線の振動や着雪の成長を抑制するための装置である「ダンパ」の脱落や、 電線相互を規定の間隔に保つための装置「スペーサ」の外れなどをリアルタイムに検出するものだ。
また、鉄塔に関する異常について、「ボルト」の脱落や「鉄塔錆」を検出するAIも開発。鉄塔種別と鉄塔塗装色、航空標識塗装と環境塗装の4種類別に学習・評価を実施しているため、様々な種類の鉄塔の異常を検出することができる。なお、「鉄塔錆」検出については、錆の度合いに応じたランク分類も可能だ。(トップ画参照)
今後両社は、今回新たに開発された「ダンパ」「スペーサ」「ボルト」「鉄塔錆」に関する異常検出AIを、2024年度中に両社が共同開発したドローンを活用した送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」へ実装し、現場運用を開始するとのことだ。
なお、異常検出結果は「POWER GRID Check」上に強調表示され、確認することができる。開発したAIモデルは、今後も精度向上に向けた継続的な学習が必要となるため、ユーザのフィードバックを元に、再学習やアルゴリズムの再選定を行い、AIを高性能化するスキームを構築するのだという。
また、変電設備への業務適用も視野に共同研究開発を行っているとのことで、変電業務向けに確立した「計器指針検出AI技術」に関しても「POWER GRID Check」への実装を来年度以降で予定している。
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