富士通株式会社とMoBagel Inc.は、MoBagelのAutoMLプラットフォーム「Decanter AI(デキャンターエーアイ)」に、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」からも提供されている技術の一部を搭載し、AIによる予測を高速化するソリューションを、2024年9月5日よりグローバルに提供を開始すると発表した。
具体的には、機械学習モデルの構築を自動化する技術である「Fujitsu Kozuchi AutoML(オートエムエル)」と、説明可能なAI技術「Fujitsu Kozuchi XAI」の一部である「Wide Learning」のライセンスを、富士通がMoBagelに提供し、MoBagelは同社の「Decanter AI」に新規のソリューションとして実装する。
「Decanter AI」に実装されたAIによる予測を高速化するソリューションは、3つの機能から構成されている。
一つ目は、データ検証と異常スコアリングだ。入力されたデータは、モデリングの際の精度の確保と処理の高速化のために、「DecanterAI」のデータ処理技術によって検証される。このスコアリングでは、情報の整合性と有用性の観点から、データが3段階でランク付けされる。
二つ目は、アルゴリズム推奨システムだ。「Fujitsu Kozuchi AutoML」の技術をベースとしたアルゴリズム推奨システムが、最適な機械学習モデルを提案する。
三つ目が、説明可能なAIのための特徴分析だ。機械学習モデルによって分析された結果には、「Wide Learning」の技術をベースとした特徴分析技術が、実践的な洞察を提供する。特徴分析により、重要な特徴を重み付けとともに提示し、それらの重要性と関連性を示す。さらに、特定された特徴は大規模言語モデル(以下 LLM)により自然言語で要約される。
「Decanter AI」に「Fujitsu Kozuchi AutoML」と「Wide Learning」を搭載した結果、最適化された機械学習モデルがシステムから推奨されることで、AIによる市場予測において、従来の「Decanter AI」と比べて精度を維持したまま処理速度を4倍に高速化したのだという。
また、「Wide Learning」によって強化された特徴分析技術によって関係性を最適化して複雑なデータを考察し、自然言語の形で表示されることで、実行に移せるレベルの提言を導き出すことが可能となった。
例として、過去の加入履歴データを使用して、自動車保険に加入する可能性が高い人を予測することを目的としたデモンストレーションが挙げられている。
このデモンストレーションでは、データ検証と異常スコアリングを行うことにより異常値が検出され、例外的なデータを排除する。そして、アルゴリズム推奨システムでは、予測に最適なモデルとして、ランダムフォレストモデルが提案された。
さらに、特徴分析では、自動車保険に加入する可能性が高い人を見分ける上で最も重要な特徴を、重み付けとともに特定する。
これにより、車の所有歴や居住地域などに紐づけて、特定の特徴を持つ顧客が自動車保険に加入する可能性が高いことを見出した。なおこの分析は、LLMを用いて理解しやすい自然言語の形に変換される。
今後MoBagelは、Deloitte Touche Tohmatsu Limitedのチームと共同で、今回開発したソリューションを用いて金融犯罪を防止する実証実験を実施する予定だ。
なお、この実証実験は、「Decanter AI」に実装されたソリューションを用いたハンズオンワークショップの形をとり、実際に膨大な取引データを分析し、異常な行動や疑わしい取引パターンを迅速に特定する過程について検証することを目的としているとのことだ。
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